学園設定(補完)

□逆3Z−その4
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#61

作成:2017/12/28




「あ?銀時、来るのか?」

「だってよ」

「"勉強があるから合コンなんか行くか"、と言っていたではないか」

「それがよ、土方が友達と温泉旅行に行くとかで、"だったら俺も遊んでよくね?"、と思ったんだと」

「なるほどな」

「ま、アイツが大学進学するとか言い出した時点で無理があるしな。もう落ちたな、こりゃ」

「ではせいぜい後悔ないように美人を紹介してやろう」

「そりゃもったいねーだろ(笑)」




職員室の外から聞えてきた会話に、土方は眉間に深いシワを刻む。

『あんのクソ天パぁぁぁ』

にやぁっと憎たらしく笑っている顔が思い浮かんでいるのは、クラスの生徒である坂田銀時。

とてもやる気のない生徒だったけれど、将来をいろいろ相談しているうちに大学への進学を決めてくれた。

頑張って成績も地味にだが上がっていたし、このまま受験まで頑張れれば合格できるだろうと安心していたところへ、銀時の友人からの思わぬ情報。

確かに受験生の生徒たちを放っておいて温泉旅行に行くのは気が引けた。

だけど社会人になってから一度も会えていなかった友人からの誘いだったので、二泊三日ぐらい息抜きしたいとも思ってしまったのは事実だった。

実際に受験勉強やら就職やらで大変なのは生徒だろうが、教師だってクラス全員が無事に卒業できるよう一緒に走っているようなものなのだ。

しかしそのせいで一人の生徒がやる気をなくそうとしている。

土方は眉間のシワをそのままに携帯を手に取るのだった。




終業式の日。

土方は、受験生だというのに楽しそうに帰ろうとする銀時を呼び止めた。

「期末の結果、国語がいまいちだったな。受験科目なんだから、冬休みに勉強みてやる」

「ええぇぇぇぇ!!!」

担任のありがたいお言葉に対して銀時は露骨にいやそうな顔をする。

「……なんだ、嫌なのか」

「予定が……じゃない、先生、旅行行くんじゃなかったんですかぁ」

「……中止になったんだ。暇だからお前のラストスパートに協力してやる」

「暇だからって……つーか、先生、数学の教師じゃん。国語教えられんの?」

「お前の行く大学ぐらいなら余裕だっつーの」

「……あ、そ」

しょんぼりしている銀時を見たら少し気分が晴れたので、

「それじゃあ毎日学校に来いよ」

「学校!?……先生、いくらなんでも1日とかは迷惑だと思いまーず」

なんて言い返されて、『それを理由に遊ぶ気だな』と思った土方はついつい言ってしまった。

「だったら家に来い」

「まじでか」

「仕方ないからな」

「……分かった。じゃあ、頑張る」

「よし!」

まだ遊ぶほうに未練がありそうな銀時だったが、土方は満足そうに笑って職員室に戻ることにした。

これで年末年始はゆっくりすることもできなくなったが、銀時を合コンに行かせるよりはいい。

なぜそう思うのか、深くは考えない土方だった。




一方、一人残された教室で、銀時は携
帯でメールを打ち込み、送信してからにやっと笑った。



「お、メール…………銀時からだ」

「なんだって?」

「"協力感謝。おかげさまで年末年始は先生としっぽり課外授業でっす!ものごっさ楽しみぃぃぃ"……だと」

「割と単純だったな、土方も」

「この浮かれよう。やっぱり合格は無理じゃねーか(笑)」


 おわり



坂本を出さなかったのは方言を考えるのが面倒だったからです(笑)
相変わらずしょうもないカップル未満な二人でした。

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