原作設定(補完)

□その33
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落ち着いて行動したはずなのに、態度に出ていたのだろうか。

「……どうして分かった」

「あのさぁ、いくら近藤に言われたからっておめーが手土産持参でここに来るわけねーだろ」

態度に出てたかどうか以前の問題だった。

根本的に土方が"万事屋に好意的に行動するはずがない"と思われていたらしい。

あながち間違っていないだけに文句の言いようがなく、だったらそれを逆手に取ってみるしかなかった。

溜め息を一つついてから事の次第を白状する。

見破られてしまったのなら銀時に協力してもらうのが得策なのだが、もちろん簡単に済むような相手ではない。

「実は……」

苦々しい思い出を渋々話してやったのに、銀時には呆れ顔で一笑に伏された。

「おたくら暇なの? 税金で給料貰ってるならもっと真面目に働いてくんない?」

「……ぐっ……」

もっともな意見で返す言葉が無いが、普段攘夷志士相手に危険と隣り合わせで働いている苦労まで台無しにされたのが腹立たしい。

これもすべて沖田のせいだが、それに乗ってしまったのは自分のせいだ。

「それにしても……神楽ねぇ……」

土方の目的が神楽だと知って銀時を怒らせてしまうかと思ったが、逆に神妙な顔をされてしまう。

何か言いにくそうにしている銀時の、次の言葉を待って緊張していた土方だったが、

「土方くん……ロリコ……」

「違うわぁぁぁぁぁ!!!」

ストレートにつまらないことを言おうとするので、大人しくしていようと思ったのに怒鳴り付けてしまった。

「てめーは何を聞いてたんだ!!てめーこそもっと真面目に話を聞け!!」

「そんなに怒んなくてもいいじゃん」

ぶーぶーと不貞腐れたように文句を言う銀時に、土方はノセられたことに気付く。

大人しくしているのが気に入らなかったのか、わざとふざけたことを言ったに違いない。

土方は大きく溜め息をついて銀時を上手く利用することを諦めた。

どうせ思ったように利t用されてくれるような男ではないのだ。

土方が諦めたことを確認した銀時は、再度団子を手に取りながらちゃんと話を聞くことにした。

「だってさ、土方くんならお妙とかのほうが年齢的にも良くなくね?」

「…………それは……」

「ああ、ゴリさんに義理立てしてんのねー。さすが副長さん」

「……なんと言われようと、俺はずっとあの人の隣に居たいんだよ」

その気持ちは忠信に溢れているように聞えるが、裏を返せば"お妙を横取りしたら近藤の側に居られない"と思っていること。

『ゴリさんはそんな器の小さな男じゃねーと思うけどな』

銀時は内心で微笑みながら、それは言ってやらなかった。

しんみりしている土方には別なことを言ってみる。

「まあ、他にチョイスする人間が居ないのは分かるけどさぁ……神楽? ロリコンだって言われちゃうよ?」

「だから、本当に結婚したいとか思ってるわけじゃなくて、フリだし……」

「お前ねー、かぶき町のゴシップ拡散率を舐めちゃいかんよ。"真選組副長が神楽にプロポーズ"なんてすぐに広まるし、だいたい……おたくのドS王子が黙ってねーだろ」

「……黙ってないって?」

「あれ? 神楽にフラれたらそれで終わりだと思ってる? んなわけねーでしょ、あの沖田くんに限って。大変なことになるねー、間違いなく」

土方はそう言われて背中に冷たいモノが流れていくような気がした。

同じドSの銀時が言ってるのだから間違いない。

まんまと神楽にアプローチした時点で、真選組副長としての立場が危ういということを確信した。

「ど、どうしたら……」

混乱してるのだろう。

銀時に相談するように呟いた土方に、銀時の返事は突拍子もないことだった。

「もう一人いなくね?」

「………なにが?」

「土方くんのお相手として妥当で、万事屋の縁者になるようなヤツ」

「……??……」

考えても思いつかず首を傾げる土方に、銀時はにやっと笑って言った。

「俺、俺」

「…………はあぁぁぁぁぁ!?」

「年齢的にもぴったりだろ。喧嘩するほど仲が良いとも言うし。何しろ縁者になるべき本人だし」

説得力はあったが土方は、それが"良いアドバイス"だと思えるほど銀時を信用していなかった。

沖田に続いてからかわれているんだと、目の前の呑気な顔をした男を睨みつける。

「てめー……どこが妥当だ。それじゃあ、代わりに男色だと言われるだけじゃねーか」

「ロリコンよりマシじゃね? 幸いここはかぶき町だし、おかまもゲイもたくさんいるから理解されるけど、ロリコンは無理だねー。女どもドン引き、変態扱い。真選組の評判にも影響するかもねー」

妙に説得力のある銀時の言葉に、納得させられそうになって土方は不安になりながらも気合いを入れ直す。

自分の考えが間違っていないことも捨てがたいからだ。

「だ、だけど、フラれてんだし、笑い話になるんじゃねーか……」

なのに、銀時は信じがたいことを言い出す。


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