原作設定(補完)

□その33
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翌日、約束の時間に土方は万事屋の前に居た。

もう20分ここに居て玄関を開けるかどうか悩んでいるのだ。

来ないことも考えたのだが、ドタキャンの常習者であることと、電話越しの嬉しそうな声を思い出したらそれもできなかった。

『覚悟を決めろ土方十四郎!あいつがドSでへ、変態だって好きなことに変わりはないだろう!』

そう念じるように何度も繰り返しつつ、

『いざとなったら殴って逃げよう』

ぐっと拳を握り締めて玄関のチャイムを鳴らした。

「土方くん、いらっしゃい!」

「……おう」

だが、すぐに満面の笑顔の銀時が飛び出してきて、さらには部屋に先導する背中が緊張しているのを見たりすると、握り拳に罪悪感を感じる。

嫌だと言えば無理強いはするまい、そう覚悟を決めて部屋に入った土方は一瞬肩だが強張った。

テーブルの上に確かに道具が並んでいる。

黒ヒ○危機一髪とか、ダーツ的なものとか、トランプとか、いわゆる玩具というやつがたくさん。

『…………あれ?道具ってこうこうこと?え?もしかしてお泊り自体そういうんじゃなくて一緒に遊ぼうとか?…………いやいやいやいや、小学生のお泊りじゃないんだから、そういうんじゃなくても玩具はねーだろ………あれぇ?』

外泊に誘われた意味さえ分からなくなって混乱する土方を余所に、銀時はソファに座って黒ヒ○危機一髪を掴むと、

「さ、さあ、決めようか!」

緊張しながらも真剣な顔でそう言った。

「……決める?」

「言っとくけど、銀さん下は嫌だから!」

「……あ?」

「銀さん、愛するより愛されたタイプだからね!土方くんを満足される自信もあるよ!たぶん!!!」

自信満々に自信なさげなことを言っている銀時を見ながら、土方は似握り締めた拳を緩めた。

つまりは、どっちが上か下かを決める道具を用意しておく、という意味だったらしい。

マニアックな変態でもないし、お泊りが勘違いでもないと知って土方は安心して笑ってしまった。

「……なんだ……はは……」

「? 土方くん?」

土方の反応がおかしいことに逆に銀時が不安になっているので、いつもの土方らしく余裕かまして偉そうに言ってやる。

「負けたらどうするんだ?」

「え?」

「ゲームで対決しててめーが負けたら?」

「勝つまでやる!!」

そう言うと思った。

名案を思いついて提示したようで、結局は我を譲るようなやつじゃないのだ。

第一土方は最初から"そっち"のつもりだったし、なんとなく流れでそのままするもんだと思っていた。

なので譲歩するフリをしてやる。

「だったら勝負する意味ねーだろ」

「だけど……」

「いい」

「?」

「俺はそっちで良い……仕方ねーからな」

「まじでか!」

「そのかわり……」

思わぬ土方の妥協に喜ぶ銀時の胸倉を掴んで引き寄せると、

「浮気したらぶっ殺すぞ」

「……ガッテン承知!」

ドスを効かせて脅してみせたのだが、余計に銀時を喜ばせてしまったようだ。

嬉しそうに答えてそのままぎゅーっと抱き締められた。

ゴロゴロと甘えてくる銀時の背中を抱き締め返す。

いろいろ勘違いしたことも、始めから"そっち"のつもりだったことも内緒にして、立場だけでも"上"にしておくことで土方も満足気に微笑むのだった。


 おわり



はい、こんなオチだってことは分かってましたよね、私だもの(笑)
上か下かを争う話も定番で良いなぁ。
で、みんななんだかんだで土方が引いてくれるというか、
そのつもりでいてくれるとか……平和でいいな、銀土は。
……つーか、銀土なんだから引くだろ(笑)

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