原作設定(補完)
□その33
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#324
作成:2017/11/26
昨夜、土方と久し振りに会えたのに翌朝早いということで酒を飲んだだけでお別れしてふて寝した銀時は、やかましい新八の声で起された。
「銀さんっ!! 起きてください、銀さんってば!!!」
「んだよ……うるせーな、ぱっつぁん……今日は仕事ねーんだからもっと寝させて……」
「今日は、じゃなくて、今日もでしょ! そうじゃなくて問題発生ですよ!!」
「……仕事ならお前ら二人で行ってきて……」
「仕事の依頼がなんで問題発生ですか! いいから起きてくださいぃぃ!!」
「新八、どくアル。力ずくで起せばいいネ」
「……分かった、起きる」
新八相手に粘る銀時に呆れた神楽の声が聞えてきて、銀時はしぶしぶ身体を起こす。
昨日は着替えず寝てしまったようで、いつもの服装で頭や尻を掻きながらだらしない顔で出てきた銀時は、新八の不安顔に八つ当たり。
「……問題発生って何だよ。たいしたことなかったらその本体叩き割るぞ」
「たいしたことあるから大丈夫ですよ」
新八がそう言って指差した先には、テーブルの上にちょこんと……というか、ドスンと乗った何かがあった。
見覚えのある柄をした青色の塊。
まだ自分が寝惚けているのかと思い、銀時は無言で近寄って近くからソレを見てみる。
何かに例えようもないソレに、また神楽が変なものを拾ってきたのかと苦言を呈そうとしたとき、
「……お前らなぁ、わけの分からないもん拾ってくんなって言ってるだろー。何だよコ……」
「ちゅん!」
塊は可愛い声で鳴いた。
「ちゅん?」
改めてよーく見ると、顔と呼ぶには寸胴な上半分に、目とクチバシらしきものがある。
「……鳥、か?」
「そうです!これ見てください!」
新八がテーブルの上に広げたのは、女性週刊誌的な雑誌の見開きページ。
そこには、ここにいる塊に似たものが載っていて、"天人の愛玩動物"の文字が書かれていた。
「どこぞの天人が持ち込んだペットらしいんですよ」
「……ソレがなんでここに……っていうか、それはどうでもいいから飼い主に届けてきなさい。謝礼とか出るかもしれねーよ」
天人がらみの面倒事に巻き込まれたくないと投げ遣りな銀時に、
「それが、これの飼い主はもう銀さんなんですよ」
新八がそんなことを言い出した。
「はあぁぁ? そんなもん飼った覚えはありませんんん」
「よく見るアル!銀ちゃんそっくりネ!」
神楽が鳥の身体を掴んで持ち上げ、銀時の目の前に差し出してくる。
しぶしぶよく見てみると……なるほど、見覚えのあるはずだ、銀時の服装と同じ格好をしていた。
「おいおい、勝手に俺のオシャレコーディネイトで服なんか作るんじゃありませんよ。ペットに服を着せるとか、どこのマダムですか」
「違いますよ。元から着てるんです」
「は?」
「飼い主に似た見た目で生まれてくる鳥なんですよ」
差し出された雑誌に目を通すと、確かにそのようなことが書かれている。
某天人の愛玩動物の卵がこっそり江戸に持ち込まれ、無作為にばら撒かれたらしい。
記事の最後のほうを見て、銀時が眉間にシワを寄せた。
天人側は、卵のままなら回収するが、孵ってしまったものは引き取れないと言っている、と書かれている。
「はあ?なんでこんなけったいなもん、うちで飼わなきゃいけねーんだよ。変わったペットは定春だけで十分だよなぁ?」
不機嫌そうに新八たちに同意を求めた銀時だったが、想像と違う答えが返ってきた。
「銀ちゃん、どこで卵拾ったアルか!!」
「あ?」
「私があっためたらめっさ可愛い子が産まれるね!私も欲しいアル!」
「姉上が欲しいって言ってるんですけど、どこで見つけたんですか?」
そう、雑誌の載ってからというもの、"可愛い、私も欲しい"という主に女子が増えているらしく、今やレアグッズ扱い。
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