原作設定(補完)
□その32
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そうは言われても、単純に「はいそーですか」と告白しにいけるわけではない。
一晩じっくりゆっくり考えた。
真選組の智将としての頭脳をフルに使って考えて考えて、翌日、万事屋の前に立った。
たまたま仕事が暇で、考えすぎたのが良くなかったとも言える。
考えているうちに脳内のどこかがヒートアップして、なんだかどうでもよくなってきてしまったのだ。
『自分を信じてバーンと行ってドーンと告白してガーンとぶつかってやる!』
その気合で万事屋に乗り込み、相変わらずやる気のなさそうな銀時に言ってやったのだが、
「てめーが好きだ!!俺と付き合えコラァァ!!!」
「は? すみません、無理です」
即断された。
がっくりと項垂れたいところだったが断られるのは覚悟の上だったので、ここで諦めてなるものかと粘ってみた。
「なんでだ!!俺のどこが不満だ!!」
「どこって……男には興味ねーし」
「い、イケメンだぞ!」
「自分で言う?……つーか、そもそも積極的にグイグイくるタイプは苦手なんだよね。控えめな子が良い」
今度こそ土方はがっくりと項垂れた。
一番身近にいた神楽の助言は何一つ役に立っていなかったようだ。
根拠のないアドバイスにその気になってノコノコやってきてしまった自分が恥ずかしくて悲しくなってきた。
あからさまにがっかりしている土方を見て、銀時が小首をかしげる。
「土方くん? もしかしてマジの話? 罰ゲームとかでなく?」
あり得ない人物からあり得ないことを言われて、銀時はすぐに何かの冗談か悪ふざけだと思った。
なので"そんな手にはのらんぞ"というつもりでコテンパンに答えてしまったのだが、土方のがっかりブリは本気のようだった。
冗談だと思われていたのかと土方が不満そうな顔をする。
「……んな罰ゲーム、誰がするんだ」
「やりそうじゃん、おたくのドS王子とか」
ああ、それはありそうだ。
土方が嫌がることを最優先で考えるのが、真選組一番隊長の得意技なのだから。
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