原作設定(補完)

□その32
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「ごめ、違う……ふふっ……多串くん、ド直球だなぁって思って……」

楽しそうに笑う銀時を見て、土方は内心でホッと息をつく。

本当は嫌な顔をされるんじゃないかと不安だった。

そんなヤツじゃないって思っていても、自分なんかにこんなことを言われても困らせて嫌がられて、拒絶されるんじゃないかと。

なので笑ってくれたことで安心して、いつものように話すことができた。

「わ、悪ぃかよ」

「悪くねーけどさ……なんで?急にそんな気になったわけ?」

聞かれると思っていたし、これを答えないと納得してもらえないだろう。

ちゃんと言わなければならない。

「……てめーと居ると楽しいんだ……嬉しいし気持ち良いし……てめーはどうか知らねーけど……俺はもっと、これからも一緒に居たいし……他のヤツに渡したくねーんだ……だから……だったらちゃんと形にしたくて……」

目に見えない"付き合っている"という拘束。

男女間でさえ移ろいやすいそんなものが、男同士の自分たちに効果があるか分からないけれど、それで銀時を少しでも縛り付けておけるなら、

「……てめーが好きだ……だから付き合って欲しい……」

そんな恥ずかしいセリフでも言う価値があると思った。

顔を真っ赤にして銀時のほうを見れず声を搾り出すようにそう言った土方を、銀時は可愛いなぁと見つめる。

土方にとっては一か八かの告白だったのかもしれない。

だが銀時は最初からその気だったし、だからこそ真選組の副長なんて面倒くさい肩書きの男に手を出した。

嬉しくて顔がにやけそうになるのをグッと我慢して、小さな声で呟く。

「……もっと時間がかかるかと思ったんだけど……先を越されちまったなぁ……」

「あ?」

「別に」

銀時が難しい表情を浮かべているように見えたのか、土方はが不安そうに訊ねてきた。

「……へ、返事は?」

ゆっくり考えてくれ、なんて気の長いことは言えない。

今だって心臓がバクバクしてるのに、このまま屯所に帰って返事を待つなんて無理だ。

そんな土方の気持ちを察し、銀時はちょっと考える。

"俺もずっと好きだった"と返して喜ばせるのも悪くないが、せっかくだからこの可愛いところをキープしたくなった。

惚れた弱みだと思っている間は素直なままでいてくれるんじゃないかと思う。

なので返事を待つ土方に、

「……いいよ、多串くんがそうしたいってんなら」

仕方なさそうに言ったら、眉間にシワを寄せて嫌そうな顔をされた。

「え、なに、その反応」

「本気で言ってんのか。嘘だったら……殺すぞ」

どうやら疑われたらしい。

「怖っ、多串くん、熱烈すぎぃぃ」

「俺はふざけて言ってるわけじゃなくて……」

「わーかってますぅぅ。だから、"いいよ"、ってば。ほら」

言葉に信用がないなら態度で示してやろうと銀時が両手を広げると、土方は嫌そうな顔をくしゃりと崩して抱き付いてきた。

ぎゅーーーっと抱き締めてくる腕が小さく震えていて、予想以上の熱烈ぶりに銀時は笑ってしまう。

その気になるように努力はしていたが、土方はいつも淡白で素っ気無くて、無駄な努力という気もしていたのだ。

土方の身体を優しく抱き締め返して、いつか本当のことを話す日まで、この可愛いさを堪能しようとおもう銀時だった。




……なんて思った銀時の希望は、ほどなくして帰ってきた神楽に、

「銀ちゃん、良かったアル。ずーーーーーーっとマヨラを好きだった執念アルな」

とあっさりバラされてしまい、嬉しい気持ちを照れ隠した土方にこっぴどく怒られるのだった。


 おわり



もうちょっとダラダラとイチャイチャさせたかったのですが……
仕事中に考えてる間は良い感じのセリフとか思いつくのに、
書くときに忘れちゃうんだよねぇ……もう年だね(笑)
うちの二人はエロもなければ告白もあまりないというヘタレコンビなので、
たまにはこういうのもいいなと思うのでした。
……自分でそう思っているだけで、けっこう言ってたかな?忘れちゃった(笑)

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