原作設定(補完)

□その32
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気付いてみれば実に簡単なことに悩んで、近藤に銀時との関係をバラしてしまったことに、改めて土方は恥ずかしくなった。

真っ赤になってがっくりと肩を落とす土方を見て、沖田は呆れた顔をし、近藤は嬉しそうに笑う。

「気持ち悪ぃ。死ね土方コノヤロー」

「だっはっは。いいなぁ、うん。。俺も早くお妙さんとメロメロのエロエロのデロデロになりたいなぁ」

「無理でさぁ」

「断言!?そんなことないよね!?俺も頑張ればなんとかなるよね、トシ!」

「…………」

「トシィィィ」

近藤の不毛な恋バナは土方の耳に届いていなかった。

自分の気持ちを自覚したならば、やらなければいけないことがある。




夜更けの万事屋の玄関チャイムが鳴り、銀時はだらしなく寝転がっていたソファから顔を上げる。

出かけていた神楽が帰る時間だったが、いつもなら騒がしく飛び込んでくるはずなのに扉は開かない。

そうしているうちにもう一度チャイムが鳴ったので、何だと思いながら立ち上がった。

「神楽ぁ?開いてるから勝手に入って……」

「……俺だ」

油断していたところにあり得ない声を聞いて、銀時は一瞬きょとんとしてしまったが慌てて玄関に下りて扉を開けた。

そこに立っていたのは確かに声の主の土方で、アポなしの突然の訪問は始めてのこと。

「どうしたんだ?休み?」

「……ちょっと……話がある」

「えっと……神楽が帰ってくるんだけど……」

「……すぐ済む……」

土方が明るくテンション高いなんて飲んでいるときぐらいなもので普段は素っ気無いぐらいだったが、今日はまたぞろ暗くてテンションが低い。

それだけであまり良い話じゃないだろうと想像ができてしまい、銀時は内心で溜め息をつく。

「……あ、そう……ま、じゃあ、どうぞ」

部屋に通された土方は、浮かない顔をしている銀時の顔をじっと見つめ、何度も躊躇うように口を開いては閉じるを繰り返した。

よほど言いにくい話なんだろう。

急かしてその話を聞かされるのも嫌で銀時は何も言わず待った。

神楽が帰ってきてしまい今日は諦めて仕切りなおしてくれないだろうかという銀時の期待は叶わず、土方はようやく決心したように声を出した。

その内容は銀時の想像していたものと違っていて、口を開くたびに土方の顔は赤く染まる。

「よ、よろ、よろず………………ぎ……ぎぎ、銀時!」

「は、はいぃっ?」

思いがけず思いもよらず"名前"を呼ばれて返事の上ずる銀時に、

「お、おお、俺……俺と……付き合いやがれコラァァ!!」

土方は真っ赤だけれど真剣な表情で、乱暴な言葉の熱烈な告白をしてくれた。

「…………へ?」

あまりにも唐突で銀時はマヌケな反応しかできなかったが、じっと自分を見つめたままの土方の顔を見ていたら落ち着いてきた。

身体を結ぶようになってからいろんな顔を見てきたと思っていたが、こんな顔は初めて見る。

そしたらなんだか可笑しくなってしまい、

「……ふっ……ふふふっ……」

笑う銀時に、至極真面目に、かつ、バズーカを構えた沖田の前に飛び出すような気持ちで告白をした土方はショックだったようだ。

傷付いているくせに眉間にシワを寄せて踏ん張る土方に、銀時は慌てて言い訳する。

「ごめ、違う、そうじゃなくて……ふふっ……」


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