原作設定(補完)

□その32
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#312

作成:2017/10/24




すっかり秋めいて、だんだん寒くなってきましたが、みなさんどうお過ごしですか?

志村新八です。

おまけにここ一週間ばかり「梅雨かよ!」ってぐらい天気が悪かったですよね。

本当に雨が多いと困ります。

依頼は減るし、神楽ちゃんは家で暴れるし、依頼は減るし、定春も家で暴れるし、依頼は減るし。

しかもなんといっても面倒なのは、銀さんです。

和室に引き込もってほとんど出てきません。

たまーに部屋から出てきても、ふて腐れたような顔をしています。

連日の雨と気候のせいか、銀さんの天パーがものっそ増量しているせいです。

コンプレックスなのは分かってるけど、大人げないですよね(笑)





銀時はデスクにぐったりと頭を乗せて眉間にシワを寄せていた。

まだ雨は続いている。

おかげで天パーは日々増量して、重くなっているような気分だった。

引きこもった部屋から出てきたのは、新八と神楽がようやく来た依頼に出掛けているせいだ。

こんな頭だから行きたくないと言ったら、依頼量は二人で分けると言われてしまった。

天パーという重い足枷を付けて生まれてきた人に対してなんて冷たいやつらなんだ、と思いながら銀時は電話を見る。

今日までに雨が止みますように、という願いは聞き届けられなかった。

日頃の行いが悪いせいだ、とは言われなくても分かっている。

でも、仕事でいつもいつもいっつも忙しくて滅多に会えない恋人との、久しぶりのデートの日ぐらいは晴れてくれてもいいのに。

だが雨は降っているし、天パーも増量中だ。

だから電話をかけてデートのキャンセルをしなくてはならない。

普段からカッコ悪いところばかり見せているんだから天パー増量ぐらい気にすんな、と神楽は言うが、
普段からカッコ悪いところばかり見せているからこそ見せたくない姿もある。

そのために電話をしなくてはならないのに、うじうじと未練がましく悩んでいた。

だがデートを楽しみにしているだろう(そう願う)土方に、早く会えないことを教えてやらなければ、と意を決して受話器を取ろう手を伸ばしたと同時に電話が鳴り出した。

「うおっ…びっくりしたぁ………はい、万事屋銀ちゃん」

『俺だ』

驚いてドキドキしていた心臓が、一瞬止まった。

「ひ、土方くん?」

『おう』

毎日聞きたくて仕方なかった声なのに、これからのことを思うと胸が苦しい。

が、銀時が一人でモヤモヤしていた悩みは、あっさりと解消される。

『……今日の約束だけど……』

「え、あ、そ、それな……」

『すまねぇ、仕事で行けそうにねぇ』

「……え……」

いつもならがっかりする内容だったが、今日の銀時には救いの手だった。

「まじでか!」

『悪い』

「いや、うん、仕事だもんな、仕方ないよねー。残念だなー」

ほっと安心してしまったのが声に出ていたのかもしれない。

『……嬉しそうだな……』

「う、嬉しいわけねーだろっ!だけどがっかりしたらおめーが気にするだろーが。銀さんの優しさですぅぅぅ」

鋭い土方に焦りながら言い訳してみたが信じてくれたようだ。

『……そうか……埋め合わせはするから……』

「だーかーらー、気にすんなって」

『ん』

話だけでももっとしたかったが、デートもできないぐらい忙しいので我慢して電話を切った。

銀時は心配事がとりあえず解決して、ほーっと大きく息をつくのだった。


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