原作設定(補完)
□その31
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「だから近藤さんは立派な男なんだよ、ただのゴリラじゃねーんだよ」
「うんうん、そーだね」
酔っているときの土方は、近藤を誉めたり、沖田への愚痴を言ったり、
「……てめー、全然飲んでねーじゃねーか」
「飲んでるよ」
「もっと飲めっつってんだ!俺が酔ってるのにてめーが素面だとおかしいだろうが!」
銀時に絡んだり、本当に普通でいつもの土方。
『これはやっぱり知らねーな。』
酔っぱらった土方を屯所まで送り届けるという仕事があるため、誤魔化しながらちびちびと酒を飲む。
それでも会えないと思っていた日に土方と一緒に酒が飲めたのだから銀時は十分楽しかった。
「あ、多串くん、そろそろ時間じゃね?帰って寝たほうがいいですよ」
そう言われた土方はとろんとした顔で時計を見てにやりと笑う。
「泊まってく」
「え」
「泊まってくって言ってんだよ!文句あるかコラァ!!」
「あわわわわっ、多串くん、騒いじゃダメぇぇぇ!」
珍しくいつもよりぐでんぐでんに酔っぱらっている土方をなだめて、銀時はなんとか万事屋まで帰ってきた。
夜は土方に会うという銀時のために、昼間に新八たちが祝ってくれたため甘い香りがしている。
和室に敷いた布団に土方を寝かせて、銀時は大きく息をつく。
もともと疲れていた土方はこのまま寝てしまうだろうから、添い寝という時間を得たことを幸運と思わなくちゃいけない。
着替えようと立ち上がった銀時の腕を土方が掴む。
「どこ行くんだコラァ」
「着替えてくるだけだよ」
「……どうせ脱ぐんだから着替えなくていいだろーが」
そう言って土方が自分から唇を重ねてきて、銀時の体ごと布団の上に寝転がる。
「お、おお、多串くん!?」
「んだよ」
「疲れてるんでしょ!?寝たほうがいいんじゃないかなぁ!?」
積極的な土方を夢見たことはあるけれど、実際にされると焦ってしまうヘタレな自分がちょっと悲しくかった。
だが積極的モードの土方はにやりと笑い、
「もっと疲れてから寝る」
なんてことを言いやがるので、銀時もいつまでもヘタレているわけにはいかない。
こんな土方も可愛いなと思いながら、土方の期待に答えてやるのだった。
腕の中で昏睡するように眠る土方の体を抱き締めながら、銀時は時計を見た。
もうすぐ日付が変わる。
そっと土方の耳元に呟いた。
「……多串くん、今日は何の日か知ってる?」
やっぱり気になって聞いてみたのだが、寝ている土方が都合よく答えてくれるわけもなく、諦めて寝ようとしたとき、
「………とう……」
土方の微かな声が聞こえたような気がした。
確認してみたが土方はやっぱりぐっすり眠っていて、銀時は改めて土方をぎゅっと抱いて目をつぶる。
本当のことはきっと教えてくれないだろうけど、幸せなのでまあいいかと思う銀時だった。
はぴば、銀さん!!
おわり
当日なのでちょっと頑張りました。
……でもね、途中でこの話は誕生日ネタじゃなかったことに気がついたの。
でもね、後戻りができなくて強引に誕生日にもってきたの。
だからね、ただいちゃいちゃしてるだけの二人になったの。
ま、誕生日だからいいか(笑)
銀さん、誕生日おめでとう。
いつまでも幸せな二人を書いていたい。