原作設定(補完)
□その31
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#307
作成:2017/10/10
「次の非番は来週の火曜だ。大丈夫か?」
「もちろのろんよ」
「ぷっ、古ぃな」
という会話をしたのが昨日の話。
銀時がカレンダーを見つめて難しい顔をしているので、
「……銀さん、何かあったのかな?」
「どうせくだらないことネ、ほっとくアル」
「……だよね」
新八と神楽にそんなことを言われてしまう始末。
バカにされたのも聞こえないぐらい、銀時の頭の中はあることでいっぱいだった。
『来週の火曜って10日なんですけど……えぇぇぇぇ……俺の誕生日に会ってくれるとか……どういう風の吹き回し?多串くんの誕生日に会いたいって言ったら“……女子かよ(笑)”ってものごっさバカにされたんですけどぉぉぉ!?』
『……たまたまか? そうだよな、アイツに限って知ってたってことねーよな。うん。じゃあ知らないフリで普通にデート………アイツに限って知らないってことなくね?フォロ方十四フォローさんだよ?』
『……いや、こんな悩まなくても本人に聞けばよくね?……“俺の誕生日祝ってくれんの?”って………聞けるかぁぁぁぁ!!!そんなハズイこと聞けませんんん。ムリムリムリ』
『もういいだろ。なにかあんなら多串くんから言ってくるだろうし、言われなかったらやっぱり知らなかったってことで。そんな気にすることじゃねーよ、たかが誕誕生日で』
『………だけど心の準備しておかないと、もし“おめでとう”なんて言われたら顔ま真っ赤っかになっちゃう気がするんですけど。嬉しくてにやけちゃうような気がするんですけど!そんな恥ずかしいことしたくないんですけどぉぉぉぉ!!』
もだもだと苦悩しまくる銀時を、新八と神楽は本当にほったらかしにするのだった。
10日。
「……おい、なんか顔色悪くねーか?」
「そ、そんなことないですよ」
「?」
待ち合わせの居酒屋で銀時の疲れた表情を見て土方は心配するが、一週間の寝不足と普段使わない頭を使ったせいによる疲労だった。
さんざん緊張して迎えた当日だが、会った早々に祝いの言葉をくれるわけでもなく、おっさんばかりの居酒屋にケーキが用意されているわけでもなく、いたって普通の様子。
「……というか、多串くんこそ顔色悪いですけど」
「数日ほとんど寝てねーからな」
どうやら多忙の合間をぬって出てきてくれたらしいが、尚更恥ずかしい期待はできなくなった。
こんな顔をしているときの土方は、義理堅く会う時間を作ってはくれるものの、疲れすぎていて屯所に帰りたがるのだ。
ケーキもエッチもお泊まりも無いんじゃ、土方には他意はない。
まあそれでもいいか、と銀時はちょっぴり残念そうなため息をついて、いつものように飲み始める。
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