原作設定(補完)
□その26
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#257
作成:2016/12/24
「やっぱり24日は無理だな」
「まじでかー……」
「別にかまわねーだろ。クリスマスなんてガキのイベントだろうが」
「そうだけどさぁ」
「まさか、てめーも“バカップル”みてーなことしたいってんじゃねーだろーな」
「“も”?」
「近藤さんが…なんか計画立ててたから」
「はぁ?ムダなことを…」
「………」(反論できない)
「ま、さすがに俺もそんなことはしないけどね」
「けど、なんだよ」
「…んー…“ガキ”どもがパーチーやるって言ってんだけどさ、お前は来ねーのかって聞いてきたからさ」
「……」
「仕事だから無理だろって言ってやったんだけど、がっかりしてましたよ?」
「…し、仕方ねーだろ…」
「ないよね。んじゃあ、俺が盛り上げといてやるからお仕事がんばって」
「…おう…」
25日をちょっと過ぎた万事屋。
子供のための宴会はとっくにお開きになっていて、真っ暗な部屋の中にこそこそと動く人影があった。
目を覚ました銀時は、気配を立てずに近づいて声を掛ける。
「……なにやってんですか」
「うわぁっ!お、起きてたのかよっ」
隊服姿のままの土方が、驚きながらもしっかり小声で叫んだ。
「仕事終わったの?なんでこっそり入ってきたわけ?」
「ちょ、ちょっと寄っただけだ…すぐ帰るし…」
こっそり入ってきた理由にはなってないが、顔が赤いのでそれは察してやることができた。
「……もしかして、神楽たちに“サンタ”しに来たんですか?」
「うっ……せ、せめてプレゼントぐらい、って思ったんだよ」
「へぇぇぇぇ」
素直に認めた土方に対し、銀時のほうは白けたような声を出す。
銀時があんな風に言うからわざわざ来たのに、と土方は眉間にシワを寄せるが、
「な、なんだよっ」
「神楽たちだけ?俺には?デートのドタキャンとか…ドタキャンとか…ドタキャンとか、我慢して良い子にしてたと思うんですけど」
銀時は大人気ない理由で拗ねていたようだった。
確かにこの一年、約束を守った日よりも守れなかった日のほうが多かったと、土方も反省はしている。
ので、素直に要求を聞いてやることにした。
「……何が欲しいんだよ……」
「んー…今は人間カイロかなぁ…」
にやりと笑ってそう答えた銀時に、何を要求しているのか悩むまでもない土方は、不機嫌そうに顔をしかめながら体当たりするように抱きついてやった。
服越しだし部屋も寒いし、カイロとしての役割はほとんど果たせていないが、銀時は嬉しそうに抱き返す。
「こんなもんでいいのかよ」
「十分ですよ。メリークリスマス、多串くん」
会えないと思っていたのが会えた。
それだけで十分な銀時だった。
翌日。
「きゃほぉぉぉう!酢昆布100個(の引換券)ネ!さすがマヨサンタはリッチアル!」
「(卵100パックの引換券)特売日以外にも卵が買えます!」
「わんっ!(ドッグフード100袋の引換券)」
「……アイツに来て欲しかったのって、そんな理由?」
「当然アル」
「えっ、僕は違いますよっ!」
「わんっ!」(違うらしい)
『…多串くんには言えない…』
おわり
家族ネタになるかと思いきや、ちゃんとイチャイチャできました(笑)