原作設定(補完)

□その26
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#254

作成:2016/12/11




会いたい。

アイツに会いたい。

くだらない話をしたい。

笑ってる顔がみたい。

触れたい。

気持ち良さそうにしてる顔が見たい。




真選組鬼の副長とありえない関係になってから三ヶ月。

発売日のジャンプにすら集中できずに、銀時は机の上の電話をちらりと見る。

肌を重ねるたびに強く願うようになった気持ちに、“理由”をつけるのはあまりにも気恥ずかしく、虚しい。

『こんなん考えてんのは俺だけだしな……町で偶然会って非番の日でも聞かなきゃ約束もしねー……』

その偶然がないためもう二週間も会ってない。

たまたま一緒に酒を飲むのが楽しくて、たまたま体の相性が良くて。

そうじゃなきゃ自分とこんな関係を続けるヤツじゃないんだと思うと、切なくなる……そんな自分に腹が立っていた。

だからこちらから電話をするようなこともなかったのだが、こうして電話を気にしてしまう始末。

そんなことをしても無駄だと、ジャンプに視線を戻したとき電話が鳴った。

油断していただけにドキドキしながら銀時は電話を取って、

「はい、万事屋銀ちゃん」

「……俺だ」

聞えてきた声に更に胸が高鳴る。

聞き間違えるはずのないけれど、返す言葉はつい疑問系になってしまった。

「…どちらの俺さん?」

「…………土方だ」

『えぇぇぇぇぇ!?まじでか!』

向こうから電話してくるなんて思いもしなかったが、どうせ何か別件があるんだろう。

なので気持ちを落ち着かせそっけなく聞いた。

「何か用ですか」

しかし電話の向こうから躊躇いがちに返ってきたのは、

「……てめー……これから暇か?」

銀時の予定を確認するものだった。

商売女を買うのは面倒だと言っていたことがあったから、溜まったものをすっきりさせたくなったのかもしれない。

だからわざわざ電話してきたのだろうかと尋ねてみたら、

「……今日、非番なの?」

「いや……ちょっと時間が空いたから……酒でも飲まねーかと思って……」

受話器越しにも土方が恥ずかしがっているのが分かるぐらい、小さい声だった。

『それだけ?酒を飲むためにわざわざ、言うのも恥ずかしいのに電話してくれたのか?』

もしかして自分と同じように“会いたい”と思ってくれたのか。

そんなことを考えて返事ができずにいたら、

「……忙しいなら別に…」

沈黙を誤解した土方がじれて話を終わらせようとするので、銀時は慌てて言った。

「行くっ、全然忙しくねーからっ」

「……じゃあ、いつもの店な」

そう答えた土方の声もほっとしているようで、銀時はまた嬉しくなってしまう。

勇気を出して電話をしてきてくれた土方へのお返しに、今日ぐらいは素直になってみようかと思う銀時だった。



 おわり



銀さんが土方をすげぇぇぇ好き……という薄い本を読むとね、こういうのが書きたくなります。
だから今まで書いたやつに、似たのがあっても許してください(笑)
ああ、もう……銀土好きだなぁ……

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