学園設定(補完)
□同級生−その3
11ページ/17ページ
嫌な予感がして銀時は続きを遮ろうとしたのだが間に合わず、金時は楽しそうに言った。
「”土方ぁ、ごめん“とか、”土方ぁ、好きだぁ“とか……」
「だああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
金時と土方の間に立ちふさがって叫び、にやにや笑っている金時を殴りつける前にそーっと土方を振り返ってみる。
ぽかんとしているがちゃんと聞えていたようだ。
「……ごめんって、黙って居なくなったことか?」
「そ、そうです……」
「じゃあ、好きだってのは?」
「……それは……」
ド直球で問い詰めてくる土方に、銀時のほうが動揺してしまった。
言い訳ならなんとでもしようがあったのに、5年ぶりに会う土方にじっと見つめられていては上手く出てこない。
顔を赤くして口ごもってしまう銀時を見て、土方はなんだか胸のもやもやが解決したような気分になった。
「……だから、俺の前から居なくなったのか?」
「そうなんだ。お前の近くに居るとムラムラして暴走しそうだから、俺は……」
「何勝手に答えてんだ、クソ兄貴!」
「嘘は言ってませんんんん。優しいお兄様に向かってクソとはなんですか」
「どこが優しいんだよ、面白がってるだけだろっ」
「優しいだろ〜。お前が枕の下に土方くんの写真を入れてんのだって気が付かないフリをしてあげてたし」
「ばっ……バカだろ、お前っ!!
目の前でキャッキャといがみ合う二人を見ながら、土方は小さく笑う。
本当は銀時に会うことがあったら絶対殴ってやろうと思っていたのに、金時のおかげでその気も失せてしまった。
さらに良いタイミングで店の店員が金時を呼びに来る。
「超お得意様だから行くわ。お前らもっと飲んでくか?」
「あ、いや、もう帰る」
土方がそう言って立ち上がったので、銀時はどうしようかと一瞬怯んでしまった。
さきほどの話がうやむやになっている以上、一緒に出るのも気まずいなと思ったのだが、
「お前も帰るだろ」
土方にそう言われてしまったので銀時は頷いて立ち上がる。
帰り際に金時がドヤ顔でにやりと笑いかけられたが、この後の展開によっては、銀時のアパートに押しかけてきていつの間にか居候している金時を叩きだそうと決意する銀時だった。
外に出ると、店内はクーラーが効いていただけにもやっとした蒸し暑さに包まれる。
今日はちょっと飲みすぎてしまったなと思いながら背伸びをしたら、後ろからしょんぼり着いてくる銀時が見えた。
金時がぶっちゃけてしまった銀時の秘めた想いに、土方がどう反応するのか怖がっている様子だ。
その姿を見ていたら、5年前、5年間、抱えていた気分が少し晴れた気がする。
「おい」
「は、はいぃぃっ!!」
「連絡先、教えろ」
「……え……」
「携帯番号と、メールアドレスも。あるだろ?」
「う、うん」
戸惑いながら携帯を取り出して、画面を操作していたと思ったら土方の携帯が鳴り出した。
すぐに切れたが着信履歴には非登録の番号が表示されていて、土方は銀時を見る。
「お前の?」
「うん」
続けてメールも送られてきたので、銀時は新しい携帯にちゃんと自分の電話番号とアドレスを移してあったのだと知った。
逃げ出すように連絡を断ったのに、電話をしたい、メールをしたい、そう思っていてくれたのだろうか。
「……お前、仕事は?」
「してるよ。まだまだ軌道には乗れてないけど……」
「…………自分の店か何かか?」
「うん。万事屋……なんでも屋というか便利屋的なもんを……」
そう言われて思い出した。
2年の頃、将来の話をしたときに、「頭も悪いし勉強も嫌いだけど、体力はあるし割りと器用だし。困ってる人の変わりに何でもやってやるような仕事って良くね?」と銀時が言っていたことを。
まだ夢や希望ばかりで現実味がない頃だったから、「面白そうだな」と土方も答えた。
土方が堅実な将来を選んでしまった中、銀時はその夢をちゃんと叶えたのだ。
突然消えた銀時を責めてばかりいた自分が恥ずかしいなと思っている土方に、
「……あのさ……さっきのことだけど……」
生殺しで放置されるのは嫌だと、意を決して銀時が切り出してきた。
だけどその顔はすごく情けない表情をしていて、土方は内心で笑う。
どう答えてやったら銀時は喜んでくれるだろうか、そんなことを考えた。
おわり
金銀双子ネタ。金ちゃん大活躍…………してる?(笑)
もうちょっと意味深的に土方とやりとりさせたかったのですが、
双子ネタってバレバレだし、もういいや、銀時出てこいや!……という話になりました。
今回も土方さんの気持ちをはっきりさせないでしまいましたね……
相変わらずチューの一つもないつまんない銀土だ(笑)