学園設定(補完)
□逆3Z−その3
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#37
作成:2016/12/19
暗闇の中、床の軋む音に土方は目を覚ました。
目だけで時計を見ると12時を過ぎたばかり。
近づいてくる足音にじっと息を潜め、ベッドの横に立ち枕元に手を伸ばした気配に、その腕を掴んで捻り上げた。
「痛い痛い、ギブゥゥゥ」
悲壮な聞き覚えのある声に、腕を離して明かりを点ける。
「坂田?」
担当クラスの生徒で、不本意ながら恋人の肩書きを持つ銀時はオーバー気味に顔をしかめる。
「せんせー、ひどい」
「こっそり入ってくるからだ。何をしてるんだ」
敢えて聞かなくても丸分かりな服装の銀時は、敢えて聞かれて恥ずかしさ倍増。
赤と白のもこもこの服は、今日、世界中で一番着られているコスプレ衣装だった。
「な、何って……せんせーが“サンタなんかいねー”って言うから……」
つい先日そんな話をしたな、と土方は思い出した。
子供のころからサンタクロースなる存在を信じることも期待することもなかったと言う土方に、「夢がない」とがっかりしていた銀時。
土方はそんな夢などなくても困らない年齢になってるのだが、まだまだ楽しみたい年頃の銀時を落胆させてしまったらしい。
そのために、わざわざ日付が変わって25日になってから部屋に忍び込んできて、サンタからのプレゼントを演出してくれたのだろう。
そんな気持ちは嬉しいと思えなくもない。
作戦失敗して本気でしょんぼりしている銀時の手から、少し大きめの箱を受け取り、
「“サンタさん”、ありがとうな」
小さく笑ってそう言ってやったら、銀時もぱーっと笑顔になる。
箱の中身は重さから考えても土方の好きな銘柄の煙草だろうし、どう考えても“子供の夢”からかけ離れているような気がしないでもないが、単純な年下の恋人が喜んでくれたから良しとして、
「用事が済んだらさっさと帰れ」
それはそれ、でぴしゃりと言う土方。
「ええぇぇぇぇ!?泊まっていっちゃダメなのぉぉぉ!?」
せっかく来たのに、見つかっちゃったのに、クリスマスなのに、と言いたげな銀時に、土方は冷静に言い返す。
「“サンタ”は泊まらないだろ」
「Σ(´□`;)」
自らの演出を逆手に取られて再びがっかりした銀時は、納得して素直に帰ろうとする。
その“サンタ”の寂しそうな背中を見つめて、小さいため息をついてから土方は声を掛けた。
「おい」
「?」
「”サンタ”はプレゼントいらねーのか?」
土方の言葉の遠まわしな意味を察して、銀時は嬉しそうに笑った。
仕方ないのでお返しにちょっと優しくしてやろうと思う土方だった。
おわり
すみません、なんてことない話で……いつもいつもいっつも(笑)
ま、クリスマスなんて定番なイベントじゃ、斬新な話なんて浮かばないけどね!
…ってコメントまで同じでどうする(笑)