原作設定(補完)

□その25
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それから土方は、少しの間一人でのんびりしてみた。

神楽が帰ってきたらうまく新八のフリをできるか心配だったし、定春にはバレるような気がするなぁと思うのだが、他に行くところがない。

財布は新八に預けてしまったので、家に帰るのはお妙が仕事へ行くちょっと前ぐらいにして、なるべく接触を控えたかった。

だから銀時がまだしばらく帰ってこなければいいのに、と思ってしまってからちょっとしょんぼりする。

本当だったら今日は久し振りに会って、酒でも飲んでゆっくりできたはずなのに。

占いのとおり“谷あり”だと落ち込んでしまうが、玄関の扉が開き、

「銀さんがただいま帰りましたよ〜」

と帰ってきたら帰ってきたで慌ててしまうのだった。

1時間ほどしか経過していないので、品物を届けるだけの仕事だったようだ。

やっぱりやる気のない顔でダラダラ戻ってきた銀時を、焦りながら出迎える。

「お、お帰りなさいっ」

「おーう」

「え……えっと……な、何か飲みますか?」

「……」

「……な、何ですか?」

「今日は依頼料の確認しねーんだな。“使ってこなかったでしょうね!”っていつもなら確認するのに」

そんな日常会話は予想してなかった。

子供に“寄り道で使い込み”を心配されるほどマダオだったのかと呆れながら言ってやる。

「つ、使ってこなかったでしょうね!」

「ませんんんん。銀さんちゃんと真っ直ぐ帰ってきましたぁぁ」

そう言いながら依頼料の入った封筒を差し出されたので、土方はそれを受け取って中身を確認するフリをしながら、

「こ、これで神楽…ちゃんに、ご飯いっぱい食べさせられるますね」

なんてそれっぽいことを言ってみた。

「アイツもなぁ、仮にも女なんだから“今日は食欲がないアル”とか言えないのかね。どんだけおかわりするんだっつーの」

「…育ち盛りだから仕方ないじゃないですか」

「その割りに全然育ってねーけどな」

なんて割と普通に会話できたことに、土方はほっと息をつく。

それから銀時がまたジャンプを読み出したので、土方は新八っぽく掃除なんて始めてみたりした。

掃除をしながらこの後どうしようかと考えたら、バレないようにこれ以上一緒にいるのは難しいなという結論に至った。


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