原作設定(補完)
□その25
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#241
作成:2016/10/17
真選組屯所、副長室で煙草をふかしながら待っていた土方のところへ山崎が駆け込んでくる。
任務の途中で入ってきた情報について確認したことを知らせにきたのだ。
「間違いないようです。怪我自体はたいしたことがなかったので今は自宅に戻ってるようです」
そう伝えた山崎に対し、土方は“最悪の事態”のような顔をする。
無事だと分かっても喜べない理由があった。
「なんでぃ、また旦那は記憶失くしちまったんですかぃ」
昨夜仕事の帰りに事故に巻き込まれ、目を覚ましたときにはすべてを忘れてしまっていたらしい。
前科があるだけに“またか”と思うし、どうせ思い出すだろうと心配する気も失せるが、土方にはそう割り切れないことがあった。
「で、土方さんと付き合ってることも忘れちまった、と」
落ち込んでいる土方に沖田が情け容赦なくそう言うと、土方がさらに沈んでしまう。
酔った勢いで告白した土方に、銀時は無下に断ることができなかったのか、“お友達から”始めてつい最近から正式にお付き合いすることになった。
銀時が自分を好きになってくれたのは嬉しかったのだが、割り切れない思いがあったのも事実。
銀時の周りには彼を慕う者が多すぎて、仕事で会える時間の限られている土方に合わせて振り回していることに罪悪感を感じていた。
だから銀時が記憶を失くしたと聞いて、自分のことは忘れたままでもいいんじゃないかと思ってしまった。
そんな乙女チックな落ち込み方をする土方に、沖田が白けた顔をしているのを山崎が苦笑いで見ている。
だが、
「俺さえ言わなければあいつが俺を好きになることもなかったんだしな」
と呟いたときには、沖田が驚いた表情で思わず声を上げた。
「え!?」
「……総悟?」
聞き返す土方に、わざとらしく知らん振りをする沖田がよけいに怪しくて、
「総悟っ!」
怖い顔で問い詰めてみたらあっさり白状してくれた。
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「多串くんて付き合ってるやついる?」
「いないと思いやす」
「贔屓にしてる女とかいる?」
「いないと思いやす」
「男もいける?」
「……知りやせん」
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銀時に相談されて土方への片想いを知った沖田は、土方がその気になるように様々な協力、演出をしてきたのだ。
もちろん、そんなことをした理由は“真選組副長が男色だなんて面白すぎる”という自己中なものだった。
そしてまんまと沖田に操られた土方は、自分から銀時に告白してしまったという次第。
「だ……だって、アイツ、友達からって……」
「土方さんが告白する気だって教えておきやしたからねぇ。ちょっとぐらい焦らしたほうが盛り上がるじゃねーですかぃってアドバイスしやした」
「じゃあ、団子屋や居酒屋でしょっちゅう会ったのは……」
「偶然だと思ってたんですかぃ?乙女チックでドン引きでさぁ」
騙しておきながら本気で気持ち悪がっている沖田に、土方もようやく怒りが込み上げてきた。
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