原作設定(補完)

□その24
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#240

作成:2016/10/16




言い訳をするなら“タイミングが悪かった”。

珍しく依頼が立て込んで新八が情け容赦なく受けるものだから、本当に毎日忙しかった。

金になるなら仕方ないと銀さん頑張ったし?

そんなに毎日毎日働いたんだから、依頼の帰りにたまたま会った長谷川さんと飲んだって仕方なくね?

久し振りだったからあっという間に酔いが回って、大事な約束を忘れちゃったとしても銀さん悪くなくね?

だいたい自分だって“仕事が入った”ってドタキャンなんてしょっちゅうなくせに、俺が忘れたからってあそこまで怒ることなくね?

待ち合わせの場所で4時間も待つとかアイツらしくなくて、ちょっと胸がきゅんとしちゃったけどガーガー怒るもんだからついつい言い返しちゃったんだけど、なんであそこまで怒ってたのかはすぐに分かった。

「もうてめーの誕生日なんか知るかぁぁぁぁ!!」

土方はそう叫んで何か四角いもんを俺の顔面めがけてぶつけ立ち去ってしまう。

ぶつけられたもんが地面にボトリと落ちて甘い匂いが漂った。

中身は見えなかったけれど、匂いと重量からたぶんケーキだと思う。

…ああ、すっかり忘れてたけど、俺、今日誕生日だったなぁ…

アイツ知ってたんだ。んでお祝いしてくれようとしたんだ。

一気に酔いが醒めて追いかけたけど、酒の入ってる俺の足取りで素面の土方に追いつけるはずもない。

屯所まで行ってはアイツに迷惑もかかるしと今日は諦めようとしたとき、通り過ぎた横道にチラリと見慣れた履物が見えた。

戻って覗き込むと、小料理屋のゴミ箱の陰に隠れるように土方が座っている。

「……匂い移るよ」

「話しかけんな」

膝抱えて俯いたままの土方の前に、ぺたんと膝をついた。

「すみませんでした」

「……」

返事はなかったけど、屯所まで帰らず立ち止まってくれたということは、このままにしたくなかったからだと勝手に解釈して言い訳をしてみた。

「お前が誕生日とか気にしてくれると思わねーもんよ」

「……お前はやってくれただろうが」

「銀さんマメだからね……だけどあの後、誕生日聞かれなかったし知らねーと思ってた」

「…んなもん、いくらでも調べられんだよ。警察なめんな」

直接は聞けなくて何らかの手段で俺の情報を手に入れてくれたのとか、らしくねーけど嬉しいと思える。

好きだとか付き合おうだとか、そんな言葉なんて何もなしに続いていた俺たちだから、土方にそこまで想われているなんて想像もしてなかった。

「うん。嬉しい……ホントに嬉しい」

だから俺も素直に今の気持ちを言ってみたら、土方も分かってくれたのか満更じゃないのを隠そうとして眉間にシワを寄せたりする。

機嫌を直してくれたのなら、後は仕切りなおしだ。

「じゃ、家行ってケーキ食おうぜ」

「…もうねーよ」

土方がせっかく用意してくれたケーキだ。顔面直撃+地面落下でぐちゃぐちゃになったからって捨ててこれるわけがない。

幸い箱から零れなかったので形はどうでも味は同じだし、

「大丈夫、食える食える」

そう言って笑ってやったら、土方は気恥ずかしそうに立ち上がった。

付き合ってもいないのにこんなやりとりは確かに恥ずかしいけれど、せっかく土方がお膳立てしてくれたラブラブタイムなので、しっかりと満喫しようと思いました。

あれ?作文?


ハピバ、銀さん!


 おわり



本当はもうちょっと細かく書く話だったんですが、銀さんの一人称にしたらみんな省略できてしまいました。
だから展開が急ですが、いつものことだからみんな慣れてるよね?だいたい想像できるよね?
他力本願かい!…という気持ちですみません(笑)

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