原作設定(補完)
□その23
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「副長っ!」
ドタドタと廊下を走ってきた山崎が確認を取る間も惜しいと襖を開けると、文机に向かって知らん振りしながらも背中が動揺している土方と、畳の上に放り出されようにごろんと転がされた銀時が居た。
どうやら気を抜いてイチャイチャしていたようで、邪魔をされた銀時はブーブーと口を尖らせてゴロゴロしていたが、
「な、なんだっ!?」
土方は平静を装ったような感じに聞いてきた。
「あ、はい。旦那を元に戻せそうな薬が見つかりました」
「にゃああ!(まじでかっ!)」
「本当か!?」
「はい」
激しく食いついてきた二人に山崎は懐から小さな小瓶を取り出すが、すかさず伸ばしてきた銀時の手をかわす。
「にゃああ!!(寄越せぇぇ!!)」
「待ってください。実は……副作用があるみたいなんです」
「副作用?」
嫌な響きに銀時も大人しくなり、土方と二人で改めて姿勢を正すと山崎の話を聞いた。
「この薬は旦那が飲んだ薬品“のみ”に効果のある薬じゃないんです」
「…薬が強すぎるってことか?」
「はい。なので元に戻れても何らかの副作用が出る可能性が高いみたいなんです」
「にゃ、にゃあ?」(ど、どういう症状?)
なんとなく銀時が言いたいことが分かった山崎が、言いにくそうな顔で言った。
「別な薬での副作用なんですが……髪がつるっとしたり……ナニがしーんとしたり……」
「……ハゲる……不能になる……」
「にゃぁぁぁぁぁ!(いやぁぁぁぁ!)」
銀時が困惑しているようなので、山崎は土方に薬を渡して出て行き、土方も落ち着くまで銀時を待つ。
それから改めて薬の小瓶を前に顔を見合わせた。
銀時が髪の毛をつんつんとひっぱりながら溜め息をつく。
「……にゃぁぁぁぁ(天パーがなくなったら困るな)」
「ハゲるのはやっぱり嫌か?」
「にゃにゃにゃあ(おめーがもふもふできねーだろ)」
「……俺は別に……」
もうもふれないと思うとちょっと寂しいが仕方ない。
それから銀時は自分の股間をじっと見つめてふかーーーい溜め息をつく。
「…うにゃぁぁぁぁぁん(息子が役にたたなくなったら困る)」
「…それは俺も困るな」
「うにゃっ!!(土方ぁっ!!)」
デレる土方に思わず抱きつきたくなってしまう銀時だったが、この猫コスプレのままじゃいまいち格好がつかない。
元に戻ってしっかりと抱き締めたいと思うが、そうすると何かを失うかもしれない。
ハゲも不能も主人公が失う物としては大きすぎるような気がするが、この姿のままじゃ土方が自分を責めるだけだ。
すーはーっと何度も深呼吸したあと、土方の手から薬を取ろうとして……失敗。猫手で小瓶は掴めなかった。
銀時が決心したようなので土方が変わりに小瓶の蓋を開ける。
「……いいのか?」
「……にゃにゃにゃぁぁぁぁ(元に戻って土方くんとエロいことしてーしな)」
にやにやしている銀時の口に、土方は小瓶を突っ込んだ。
その中身を飲んだ銀時があまりの苦さに口を押さえて蹲ると、薬の効果は覿面だったらしく猫オプションがすすーっと引っ込んでいく。
口を押さえた手が“自分の手”に戻ったことで銀時は顔を上げると、土方をじっと見つめ、
「……ひ…じかたくん?」
名前を呼んでみたが、声もちゃんと戻っていた。
それから慌てて頭に両手をもふっと乗せ、恐る恐る引っ張ってみたが抜ける気配はない。
そしてもう一つを確認すべく、ほっとしている土方をぎゅーっと抱き締めてみた。
同じ部屋で寝ながらずっと我慢していた土方の匂いを嗅いでいたら、
「……ど、どうだ?」
「……むらむらします」
むぎゅむぎゅと土方の感触を堪能していくたびに元気になる息子に、泣きそうになってしまう。
銀時が感動しているのが分かるのか、土方も背中に手を回して抱き締めてくれた。
が、銀時からは拒絶の声。
「……やめてくんない……」
「あ?」
「我慢できなくなんでしょーが」
言葉とは裏腹に抱き締める手を緩めようとしない銀時に、土方は笑う。
「……ぷっ……我慢しろや。2時間ぐれーで仕事片付けてやるから」
「……お願いします……」
副作用はまだ分からないけれど、思う存分イチャイチャしてやろうと思う銀時だった。
3時間後のラブいホテル。
「…………なんか、早くねーか? やっぱり副作用……」
「早いって言うなぁぁぁぁ!! か、回数でこなすもん!!」
無くしたもの、持久力。
おわり
222(にゃんにゃんにゃん)で猫化の話でした。
下ネタの話になっちゃいましたけどね。