原作設定(補完)

□その23
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万事屋を追い出された銀時は結局屯所に来ることになり、今回の失態について局長自ら深々と頭を下げてくれた。

「えー……今回はうちのと……トシを……庇って、こ……こんな目に……あわせてしまい……ほ、本当に……」

「……近藤さん、無理するな」

「ぶははははははっ!! わ、悪いっ、ぶふふっ」

「にぁぁぁ(怒)」

申し訳ないと詫びる気持ちは本当なのだろうが、それを凌駕する銀時の姿にいまいち真剣になりにくい。

むすーっとしている銀時に、近藤もさすがに悪いかなと咳払い一つして改まる。

「元に戻れるよう全力をつくすから、それまで屯所に居てくれ。部屋は……」

「にゃあああ!」

近藤の言葉を遮って、銀時は土方の腕を掴んだ。

「あ? トシの部屋でいいのか?」

「にゃあにゃあ!」

「そうか。じゃあ、トシ、頼んだぞ」

「……分かった」

銀時が嬉しそうに頷き、近藤に頼まれてしまったら仕方ない。

と思う以上に、銀時が嬉しくて少しでも気が晴れるなら、という気持ちだった。

第一、すぐさま副長室に布団一式が運び込まれ、

「にゃぁぁぁぁ(一緒の布団でいいのにぃぃ)」

「……断る」

ニヤニヤ笑う銀時の言いそうなことを予想して返事ができるのが土方だけなのだから、適材適所(?)だろう。




それから連日銀時が戻るための実験が行われた。

“実験”というのも、正規の解毒剤で戻らなかったものだから、“戻りそうな方法”を試していくしかなかった。

始めは土方も同行していたものの真選組の業務も忙しくなって別行動になり、夕方猫コスプレのまましょんぼり帰ってくる銀時を迎える毎日。

それでも土方の前では割と元気に振舞っていた銀時だったが、4日目になるとさすがに悲壮感が出てきた。

ふらふらと文机の前に座っていた土方の元までくると、太ももにころんと頭を乗せる。

甘えんな、と払い除けることを躊躇われるほどの“しょんぼり”ぶりだ。

「……にゃぁぁぁぁ(戻らなかったどうしたらいいですか)」

「………大丈夫だ」

「……」

「俺が責任持ってちゃんと飼ってやるから」

「にゃあああああっ(ペット扱いですかコノヤローォォ)」

眉間にシワを寄せながら退こうとしない銀時の頭を撫でてやる。

そのもふもふっとした感触を楽しむ撫で方が、すでにペット扱いされているような気が否めない銀時だったが、土方が甘やかせてくれることなどめったになかったので黙って撫でられていた。

……ら、なんだかムラムラした気持ちになってきた。

寝食をともにするようになって4日。

こんな姿になっているから土方は油断しているようだが、銀時はずっと、ずーっと我慢していた。

罪悪感から土方は優しくなって、触ってもくっついても許してくれる。

そのたびにぎゅーっとかちゅーっとかしたくなる銀時だったが、ぐっと我慢してきた。

せざるを得なかった。

幸い銀時の愚息は猫化していないため、土方とイチャイチャすることはできる。

『だけど、口が猫だし?手が肉球付きもふ手だし?絵的に変なプレイみたいじゃん。その気恥ずかしさを乗り越えてヤレちゃったとしても、猫化作用でものすごく“良く”なってたらどうしよう……戻ってから“前(猫)のほうが良かった”とか言われたら立ち直れないんですけどぉぉぉ。それに土方くん、いつになく優しいし、アレとかソレとかしてくれちゃうかもしれないけど、俺の声が猫だし?気持ち良くって“にゃん”とか言っちゃったら…………やっぱこのままじゃ無理ぃぃぃぃぃぃ』

ムラムラしている銀時の思考暴走中。

赤面したり落ち込んだり悶絶したりしている銀時をちらりと見て、

『きっとろくでもないこと考えてるんだろうけど、楽しそうだからいいか』

と放置する土方だった。



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