原作設定(補完)
□その23
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“新八くんたちを確保。情報収集中。終わったら連絡します”
山崎からだった。
約束通り、銀時とのことを、親しい友人の原田にも話していないようだったし、気をきかせて子供たちの足止めまでしてくれている。
たまには褒めてやってもいいかもしれない、と思いながら、土方は今度は自分の上着を脱ぎだした。
さすがにぎょっとした銀時だったが、
「…おいおい……新八ら帰ってくるからこれ以上は……」
「しばらく帰ってこねーよ、山崎が連れ出してる」
「……まじでか……そんなに?」
ずっと会えずに欲求不満で限界の土方が、真昼間から襲い……もとい、襲われに来てくれたのかと銀時はなんだか嬉しそうだ。
その気になった銀時に身を任せながら、
『他のヤツとヤッてねーか、体で確かめてやる!!!』
なんて、色っぽくもなく穏やかでもないことを考えている土方だった。
さらに一方、山崎。
餌(食事)で釣って二人をさっきとは別のファミレスに誘い込んだはいいけれど、神楽のあまりの食欲に支払いが間に合うかドキドキしていた。
そんな山崎に、新八のほうから聞いてきた。
「それで、何か用なんですか?」
「えっ?な、なんで?」
「意味もなくご飯を奢ってくれるわけないじゃないですか」
何も考えずに一心不乱に食べている神楽と違い、新八のほうはちゃんと警戒していたらしい。
だったら話が早いと、神妙な顔で訊ねてみた。
「最近、昼間から吉原にずっと通いつめてるって聞いたけど」
「え?そんなことですか?」
「う、うん。ほら、前に吉原でいろいろ騒ぎがあったみたいだからさっ」
「えーと……まあ」
「だから、旦那はああ見えてお人好しだから、まだ何にかに巻き込まれてるのかな、って……きょ、局長がね!」
「あははは、そんなんじゃないですよ」
本当に銀時が“そういう目的”で吉原に通っているのだったら、二人にはバレないようにしているのかと思われたが、新八はあっさりと笑い飛ばしてくれた。
「銀さん、夜通し飲んで朝帰りするような友達ができたみたいなんですけど、最近その人が忙しくて遊んでくれないらしくて拗ねちゃって……」
その友達とは土方のことだろう。どうやら新八たちも銀時と土方が付き合ってることは知らないらしい。
「それで、まあいろいろあってタダ酒を飲ませてくれる吉原に、自棄酒通いしたんですけどね……そこに住んでる晴太っていう子が、お母さんにプレゼントしようとコツコツ作っていた超大作を、酔った勢いで壊しちゃって。それを直すのを手伝うために毎日通ってるんですよ」
「……超大作?」
「なんでも、金銀、宝石を贅沢にちりばめた吉原全景モニュメントらしいです」
「……ふーん……」
銀時らしいオチに、山崎は二人には気付かれないようにテーブルの下で携帯でメールを打ち込んだ。
再度、土方。
『…………アレェ?』
布団の中でご機嫌な銀時にぎゅーっと抱き締められながら、土方は首を傾げていた。
毎日吉原に通ってお疲れどころか、
「もっとする?」
なんて言い出すぐらい元気いっぱいだったのだ。
土方のほうも臨戦体勢だったし久し振りでもあったせいでいつもより激しくまぐわってしまい、かすれた声で呟く。
「……遠慮します」
「あっそ」
あっさり引いた銀時だったが、甘えるように土方にくっついて満足そうだった。
なんだか腑に落ちない気持ちでいたら、またメールの着信音が聞えて携帯を手に取る。
“誤解でした。内容はあとで報告します。今別れました”
パタンと携帯を閉じ、まだ甘えている銀時をちらりと見て納得した。
『……だよな……コイツ、俺のこと大好きだしな』
そう納得したら、急に押しかけてきて銀時を襲った自分が恥ずかしくなってきた。
くっついている銀時を腕でぐいっと押し退け、
「帰る」
そう素っ気なく言って脱ぎ散らかした隊服を持って風呂場に寄り、そのまま部屋には戻らず万事屋を出た。
帰り際に路地から見える和室の窓を見上げたが、それは銀時に読まれていたようだ。
窓から土方を見つけて銀時がにっこり笑って手を振っている。
それに答えることもせずプイッと顔を反らして、土方は帰って行った。
そして、それを見送った銀時はこらえきれずに吹き出す。
「ぶふふっ! なぁんか誤解して悶々としてたみてーだけど、得しちゃったなぁ。アイツ、ホントに俺のこと大好きな」
そんな土方が可愛くて仕方ない銀時でした。
おわり
本当はもっとエロイ話だったんですけどね……土方がサービスいっぱいで(笑)
だけどイチャイチャさせたい気持ちが篭もってるでしょ?