原作設定(補完)
□その22
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「……なっ……」
「土方ぁぁぁ!!!」
銀時は不機嫌な形相で怒鳴ると、土方の前にスライディング正座で飛び込んでくる。
「なにしてんだてめー……」
「お前っ、沖田くんに何か言われたのかっ!!?」
驚いて素に戻っていた土方だったが、銀時の口から沖田の名前が出てきたことで怒っていたことを思い出した。
「てめーにゃ関係ねーだろ」
「関係ありありですぅぅ!!何言われたんだか知らねーけど、ソレ、違うから!!」
“知らない”のになんで“違う”と分かるんだ、と言ってやりたかったが、銀時の顔が鬼気迫っているので声にならなかった。
真剣な目でじっと土方を見つめ、
「おめーを好きだって言ったのは本気だから!!」
“二度目”の告白が土方の胸に突き刺さる。
あの日、沖田に“あんなこと”を言われ半信半疑だったところに、一度目の告白をされた。
すぐに怒りが込み上げてきて酷いことを言ったけれど、それ以上に辛くて悲しかったことを思い出す。
「……てめー……まだそんな嘘を……」
「だから嘘じゃねーんだって!! そんな嘘ついて俺に何の得があんだよっ!」
「……総悟と二人で俺をからかって……」
「からかうために男に告白って、それって俺はむしろ損してね? その上フラれてたらダメージ倍率ドン!じゃね?」
改めて言われてみればそうかも、とも思える。
腑に落ちないような顔をしている土方に、銀時は改めて聞いてみた。
「……沖田くんに何言われたのよ?」
「…………てめーと、俺と仲良くできるかどうか賭けをしてる……告白してOK貰えたら20万払うことになってるけど払いたくねーから断ってくれ、って」
「あんのクソガキぃぃぃ。嘘の中ででも小賢しいマネしやがって」
銀時が本当に怒っているようなので、土方の気持ちも少し冷静になってきた。
「……嘘、なのか?全部?」
「嘘ですぅぅぅ、賭けなんかしてませんんん!! 俺が一生懸命じわじわおめーと仲良くなってきた努力を一言でパーにしやがって!!」
本当に“じわじわ”だった。
喧嘩ばかりだった銀時が、笑いながらしつこく絡んでくるようになったのも、それに慣れて悪い気がしなくなってきたのも、ずーーっと前の話だ。
そんなに長いスパンで“土方に対する嫌がらせ”をするだろうか。
……沖田ならしかねない、と半信半疑の土方だったが、
「本当にか?」
「おめーなぁ……付き合い短いから俺を信用できねーのは分かるけど、付き合い長いなら沖田くんがどういうつもりでそんな嘘をついたのかも分かるだろーが」
そう言われて、してやったり顔の沖田の笑みが頭に浮かんだ。
きっと沖田は気が付いていた。銀時も気持ちも、土方の気持ちも。
理解してくれたのかしゅんとしてしまった土方に、銀時は姿勢を正し、
「改めて言うけど……おめーのこと…あの…マジで好きだから…」
三度目の告白をしたら、今度はちゃんと聞いてもらえた。
「……ん……」
普通に、というかむしろちょっと嬉しそうな顔をしている土方に、今までのあれやこれやが自分の思い込みじゃないことを知った。
ので、思い切って返事を要求してみる。
「…おめーは……俺のことどう思ってんですか……」
「……あ?……」
「返事だよ、返事ぃ。告白されたら返事をするのが礼儀でしょうが」
「そ、それは……」
心の中にもやもやっと溜め込んでいたことでも、追求されると言い出しにくいものである。
困った顔をする土方に、銀時は山崎の言葉を思い出した。
「……そういや、ジミーにフラれたことを話したら“そんなまさか”って言ってたけど、それっておめーが俺をフルはずねーっていうこと?もしかして俺のこと好き?」
「……っ……」
たちまち顔が真っ赤になっていく土方に、銀時はきゅんと胸がときめく。
「まじでか。つまり今までの素っ気なさは、激しいツンデレ?」
「しょ、しょうがねーだろっ、今更俺が可愛く振舞えるわけねーんだからっ」
「それが全部まるっと可愛いですコノヤロォォォォ!!」
「か、可愛いって言うなぁぁぁ!!」
本気で照れる土方に銀時は嬉しそうに笑った。
そして襖の向こうでそんな二人の様子を伺っていた沖田は、
「ちっ」
渋い顔で舌打ちをするが、襖が開き、
「総〜悟〜〜〜っ」
「沖田く〜〜〜ん」
怖い顔をした二人に見下ろされ、沖田は唇を尖らせる。
「なんでぃ、俺のおかげで“雨降って地固まる”だったでしょーが」
「てめーが余計なこと言わなきゃ、そもそも雨は降ってねーんだよっ!!」
「そーとも言う」
そしてぴゅーっと逃げていく沖田を追う土方を見ながら、どうやら最初から好きでいてくれたらしいことに、改めて嬉しくなる銀時だった。
おわり
……なんか無理矢理終わらせた感が半端ないです。あれ?こんなオチだったかな?(笑)
ホント、ワンパターンですみません。
好きだ嫌いだとか、会えないのが寂しいとか、そんなんでやきもきしている二人が好きなんです。
銀さんヘタレだし、十四郎素直じゃないし。あーもう、可愛いったらありゃしない。