原作設定(補完)

□その22
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緊急事態の発生に、万事屋一行は自宅に戻って顔を突き合わせていた。

「OKされちゃったじゃねーか!どうしてくれるんですかコノヤロォォォ!!」

「物好きもいたものねぇ」

「マヨラ、男が好きアルか?銀ちゃんのケツを狙ってるアルか!?」

何故か嬉しそうに話す女子達の言葉に、銀時はサッと両手でケツを庇いながら、

「お、俺、ちょっと行って、さっきのは罰ゲーム的なものだったって言ってくる!」

そう言って立ち上がったところに、新八が重い声で言った。

「そんなことしたら切腹ですよ」

「えええぇぇぇ!?」

「土方さんがあんな風にあっさりOK出したってことは、前から銀さんのことが好きだったに違いないです」

「そうねぇ、きっと嬉しかったわよね。それなのに罰ゲームだなんて言われたら……」

「“よくも俺の純情を弄んでくれたな!腹かっさばいて詫びろコラァァァ!!”……アルな」

三人のリアルな想像に、銀時はがっくりと項垂れる。こんな理由で切腹は嫌だ。

「そもそもおめーらのせいなんだから……なんとかしてください、お願いします」

いつになく弱気な銀時だったので、三人は真面目に考えてあげた。

「何せ交際を申し込んだのは銀さんのほうですからねぇ。ここは、お付き合いするしかないんじゃないですか?」

「おまっ、んな無責任なっ」

「それからフラれればいいんですよ」

「あ?」

「“あの”土方さんが好きになるぐらいですから、相当銀さんを美化してると思うんですよ。だから、それを裏切る行動をとれば“こんなヤツだったのか”って我に返ると思いますよ」

「真面目で固い人ほど、自分に無いものを持つ人にコロリといっちゃうものよね」

「……マヨラに無いもの……」

三人はじーっと銀時を見つめ、そして深い溜め息をついた。

「…ダメなものしか見つけられない…」

「ダメって言うなぁぁぁぁ!!!」

「素で行動すればいいってことですよ」

散々なことを言われた銀時だったが、背に腹は変えられない。

土方を怒らせずに穏便に別れるための作戦に出た。



その1、自分からデートに誘っておいて遅刻する

「悪ぃ悪ぃ、寝坊しちゃってさぁ」

そして最低の遅刻理由を軽い口調で言う。


「かまわねぇ、待つのは慣れてる。まだ眠たそうな目ぇしてんぞ、大丈夫か?」

「……生まれつきです」

広い心で許された。



その2、相手の好物をけなす。

「おまっ、マヨネーズかけすぎじゃね? 気持ち悪くね?」


「コレにはマヨが合うんだよ。食ってみろよ」

美味かった。



その3、ベロベロに酔ってみる。

「でへへへへ、酒が美味くて酔っ払っちゃっいましたよ、ひーっく!」

「美味いだろ? ○○万円するらしいからな、味わって飲め」

「!!!」

酔いが醒めた。



その4、自分からデートに誘っておいて金がないアピール

「今月もピンチでさぁ、新八と神楽の給料も家賃も払えないぐらいなんだよねぇ」


「てめー………相変わらずのマダオだな」

しょうがねぇなという笑顔で、デート代を払ってくれた。




翌朝、銀時は出勤してきた新八に結果報告。

「全然効果ねーじゃねーかぁぁぁぁ!! 何あの子! 鬼じゃなかったの!? 仏!?」

数々のダメ男っぷりを披露してきたのに、土方はそれを全て許容してくれた。

「……よくよく考えてみれば、銀さんがどういう人間なのか分かった上で好きになったんですもんね」

「ダメ男なのはご存知だったネ。無駄な行動だったアルな」

「お前ら、銀さんを振り回して楽しいですかコノヤロー」

役に立たなかったどころか一回目のデートを成功させてしまったのだから、ますます本当のことは言えなくなった。

「もう少し様子を見るしかないですね。土方さんが本当に銀さんを好きなのかも確かめてないですし」

「マヨラのほうも罰ゲーム的なものだったら笑えるアルな」

「あははは、そうかもしれないね」

二人は笑っていたが、“それはない”と銀時は思った。

罰ゲームのあの日、そして昨日、土方が節々に見せた嬉しそうな顔。

それ見たとき”本当なんだ”と分かった。

だからこそ銀時の罪悪感を余計に煽り、嘘でしたと言って傷つけることが、切腹よりも怖いと思ってしまったのだ。

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