原作設定(補完)

□その21
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それから銀時はときどき土方に会うようになった。

映画だの飯だの酒だの、“アイツらに奢るよりマシ”と言って奢ってくれるもんだから、むしろ喜んで出かけてさえいた。

「いやー、多串くんがこんなに面白いやつだと知らなかったなぁ僕ぅ、ぶははははっ」

甘味を肴に酒を飲んでいた銀時がご機嫌で笑うと、土方も呆れたような顔をしながら酒を飲む。

「調子良いんだよてめーは……つーか、おはぎ食いながら酒を飲むんじゃねーよ」

「そういうお前こそ、漬物までマヨネーズかけるのおかしくね?さっぱりしてーのかこってりしてーのか、どっちですかコノヤロー」

「んだコラァ!マヨネーズの酸味と漬物の塩分が絶妙なコラボレーションを結んで結果さっぱりしてん………ぐーっ」

「寝たぁぁぁ!?いきなり寝たぁぁ!!」

意味不明の熱弁をふるおうとした直後に、土方はゴトンと頭をテーブルにぶつけてそのまま寝てしまった。

「……そういやずっと寝不足だっつってたもんな」

気晴らしに酒を飲みたいと言いながらも、目にクマをつくり体は斜めに傾いていた土方は、酒が入って効果覿面だったようだ。

起すのも悪いかと思ってかまわず酒の続きを飲んでいると、

「……むぐぐ……総悟てめーコノヤロー……」

眉間に深いシワを刻んで寝言を言いながらギリギリと歯を食いしばる土方に、銀時は吹き出す。

「ぷっ……夢でまで沖田くんに遊ばれて大変ですねー」

仕事は忙しいわ、部下は言うこときかないわ、上司はストーカーだわ。

面倒ごとばかり背負い込んでフォロ方十四フォローなんて呼ばれた挙句に、男と付き合う羽目に合ったりしている。

険しく歪めた表情の下にある綺麗な顔立ち。

「女がほっとかないだろーになんで俺なんかと……って、半分俺のせいでしたっ」

残った酒を一気に飲み干して、立ち上がると土方の肩を揺らす。

「多串くーん、帰りますよー」

「…んあ? もう飲めね…」

「はいはい。もう飲んじゃだめですよー」

一人で立てない土方の体を支えながら、ちゃんと支払いは土方の財布で済ませた銀時は店を出た。

仕方ないから屯所まで送って行こうかと考えていたのだが、最後に飲んだ酒がだんだん効いてきた。

「あれれ……勿体無いって全部飲んだのマズかったかな……」

土方を支える腕にも力が入らなくなり、縺れた足で二人とも道端に突っ伏してしまう。

「いたた……」

「…てめー、何すんだっ、いてーじゃねーかっ!」

フラフラのくせにはっきり文句を言う土方に、このまま放り出してやろうかと一瞬考えたが相手は酔っ払いだし、しかも奢ってくれた相手だ。

だがまた土方を連れて屯所まで行く自信はなかったので、

「悪ぃ悪ぃ。つーか、このまま送ってくの無理そーだから、うちでちょっと休んでく?」

屯所に行くよりも万事屋に帰ったほうが断然近い。

一応聞いてみたが土方はすぐに半寝状態になってしまい、銀時はそれ以上聞かずに万事屋に向かった。

明かりの消えた万事屋になんとか上がりこんで、土方をソファの上に転がす。

「お、多串くん、痩せてみえんのに意外と重いのね」

「……誰がデブだコラァ……」

「んなこと言ってねーっての」

文句にだけ反応するものだから本当は酔ってないんじゃないかと思えたが、そうじゃなければ全身真っ赤にしてソファにだらしなく寝ている姿なんか晒すわけがない。

疲れて床に直接座り込んでいた銀時は、その姿を見てドキリとした。

顔をしかめて身動ぎした土方がやたらと色っぽく見えたのだ。

「……あれ、なんか目がおかしいのかな……」

目をゴシゴシと擦ってから改めて見ると、さらに動いて足だの腕だのを出している土方の姿に、ドキリどころかズキューンと反応してしまった……某センサーが。

「おいぃぃぃぃ!!相手は多串くんですよ!壊れちゃった!?しばらく使ってねーから壊れちゃった!?」

「うるせぇぇぇぇ!!眠れねーじゃねーかコラァァ!」

有りえない現象に銀時が悶絶していたら、にゅっと伸びてきた土方の腕に襟元を掴かまれぐいっと引き寄せられた。

不満そうに拗ねた土方の顔を間近で見て頭がくらっと揺れる。




「……ってとこまではちゃんと覚えてんだけどなー……」

頭がズキズキ痛むのは例に洩れず二日酔いだろうが、何故か気分はすっきりしていた。爽やかな朝だから、ではない。

『酔ってたしね……うん、仕方ないよコレ……』

自分に言い聞かせてチラリと横を見る。

スースーと寝息を立てているのは土方で、二人とも何故か裸だった。

『何故かもなにもあるかぁぁぁぁ!!何しちゃってんの、俺ぇぇぇぇぇぇ!!!』



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