原作設定(補完)

□その21
21ページ/34ページ




「……どうした? 酒が進んでねーじゃねーか」

出張から帰った土方が飲みに誘ってくれたんだけど、ここ数日の精神的疲労の所為でいまいち喉の通りが悪い。

秘密を知ってしまったせいで土方の顔が見られないっていうのもあるんだけどね……可愛くて……。

「そ、そんなことないですぅ」

慌てて酒を飲み干して土方を見ると、

「……あ? 土方こそ、マヨの量少なくね?」

いつもより黄色いのが少ない気がしてそう聞いてみた。

「そ、そんなことねーよっ!」

そう言って慌ててマヨをてんこ盛りに搾り出した。出張から戻ったばかりで疲れてるのかもしれないなぁ。

こんなに働き者で俺のこと大好きな土方のことを、少しでも疑って部屋を探るなんて……俺はなんてことしちまったんだぁぁぁ!

その罰で沖田くんに脅されているのだから、それは甘受するしかないと覚悟を決めた。




のだが……。

二週間後、働いても働いてもちっとも温かくならない懐に、土方とも会う時間が取れなくて一人寂しくソファでゴロゴロしていたら、家の外の会談を乱暴な足取りで登ってくる音が聞えてきた。

そしてバーーーン!!と開く玄関、駆け込んでくる……土方。

「てめぇぇぇぇぇ!!!」

「え?な、なに?」

「俺の部屋に忍び込んだってマジかコラァァァ!!!」

バ、バ、バレタァァァァァ!!!

付き合うようになってから見せるツンデレとは違う、まさに鬼の形相で胸倉を掴んでくる土方に最悪の結末が脳裏を過ぎる。

「あ、あの、それは……」

「……てめーっ…………そういうことは早く言えやぁぁぁぁぁ!!!」

「……あ?……」

否定しない俺に“忍び込んだ”が事実だと確認した土方は、悔しそうに顔を歪める。理由はすぐに分かった。

「てめーが知ってると知らねーで……総悟に………くっ……」

あ、あのガキャァァァァァ!!!

土方にバラすと俺を脅しておきながら、俺にバラすと土方のことも脅しやがったな!

あのガキのやりそうなことなのに、後ろめたさからお互いにこの話題に触れないようにしてしまったのだ。

悔しさと恥ずかしさで口をへの字にしている土方が可愛くて、土方の口から“あの本の理由”聞いてみたくなった。

「……なんであんなもん読んだの?」

土方は一度ぎゅっと口を結んだあと、言いにくそうに教えてくれる。

「……そういうメリットがあったほうが……てめーに飽きられねーと思って……」

告白したときと同じぐらい顔が真っ赤だ。

あの時も真っ赤になって好意に同意してくれたけど、ものごっさ好きぃぃぃぃ、という感じじゃなかったからそんなことを考えてくれていたとは知らなかった。

だけど、

「メリットって……それって俺に失礼じゃね?」

まるで体だけが目的みたいな言い草だが、それぐらい土方は必死だったらしい。

「……てめーの周りに女が多いのが悪いんだろーが……」

ちゃんと告白して付き合うことになったのに、自信がなかったんですかね? 土方が思うほどモテてねーと思うんですけど。

白状させられて拗ねるようにそっぽを向いた土方に、

「ものごっさ可愛いぃぃぃぃぃ!!!」

我慢してきたムラムラが限界を超えて抱き付いてやったら、照れ隠しで暴れ出した。

「か、可愛いってなんだコラァァァァ!!!」

それでも俺から逃げようとはしないので、二週間ぶりに土方くんの温もりを堪能したのでした。



 おわり



なんだこれ(笑)
どんなふうに土方がエロイのかお見せできなくて残念です。
銀さんの一人称にする予定じゃなかったから、なんか節々に無理があるなぁと思いつつ、
いつものありがちな設定てんこもりでイチャイチャできて良かったです。


次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ