原作設定(補完)

□その21
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夕食を食べて持参のアニメDVDを見たらトッシーはおねむの時間になったようだ。

「坂田氏ぃ、拙者もう寝るでござる」

「……あっそ、帰って寝れば?」

「お泊りに来たんだから帰らないでござる。それに十四郎が起きたらどうするでござるか?」

「…ぐっ…」

トッシーが言うには“土方は寝ていて起きないだけ”らしいので、睡眠を十分に取ったら起きるかもしれないのだ。

まだ土方とイチャイチャするチャンスがあるのなら、トッシーを泊めるしかなかった。

隣の和室に用意してあった“恋人を泊める仕様”の部屋を片付けて、銀時の布団の横に客用の布団を敷いた。

マヨネーズ柄のパジャマに着替えたトッシーが、その枕元にフィギュアを楽しそうに並べる。

そして布団に潜り込むと、

「おやすみなさいでござるっ」

そう言って目を閉じた。

始めて見る“土方”の寝顔。

黙っていれば土方と同じでムラムラっときそうなのだが、フィギュアが気分が盛り上がるのを阻止してくれた。

銀時が溜め息をつくとトッシーはぱっちりと目を開け、

「やらしいことをしちゃダメでござるよ」

「するかぁぁぁぁぁ!!ふざけたことほざいてねーでとっと寝ろぉぉぉぉ!!!」

いちいちイラッとすることを言うので怒鳴りつけ、銀時もさっさとふて寝してしまうことに決めた。



真夜中、体をぎゅーぎゅーと締め付ける苦しさで銀時は目を覚ました。

隣の布団を見るとトッシーの姿は無く、自分の体に誰かがしがみ付いているのが見える。

寝る前にあんなことを言っていたトッシーだけに無いとすれば、

「……土方?……」

名前を呼ぶと、顔を上げないまま呟く土方のか細い声が聞えた。

「……悪い……」

トッシーになってる間の記憶は土方にはほとんど無かったが、屯所で寝てたはずなのに万事屋に居ること、枕もとのフィギュアで推察したらしい。

銀時をがっかりさせないために仕事を頑張ったのに、結果がコレだ。

落ち込んでいるらしい土方に、銀時は吹き出しながら言った。

「ぷっ……まったく、台無しじゃないですかコノヤロー」

「…すまねぇ…」

恥ずかしいのか顔を見せようとしないので、そのままぎゅっと抱き締めてやる。

「無理なら無理って言いなさいよ。また今度でいいんだからさ」

そう言われても、仕事がら“今度”が必ずあるとは言えない身の上だ。

危険な仕事をするたびに、銀時と一緒にいるのが楽しいと思うたびに、“最後”を意識しないではいられなかった。

ようやく顔を上げた土方は、体を少し起して銀時を見下ろすように見つめる。

「今度があるとは限らねーだろ。明日何かあって、昨日ヤッときゃよかった、って思うのは御免だ」

辛そうに眉間にシワを寄せる土方の気持ちが分からないでもない。銀時も戦場に身を起き、仲間の死を沢山見送ってきたのだから。

だからこそポジティブに生きることにした。毎日“明日”があるからこそ、こうして土方の可愛い拗ねた顔を見ることができるのだと。

「縁起でもないこと言わないでくんない?」

銀時が笑うと土方もつられたように笑い、どちらかともなく唇を重ねる。

ようやく良い感じにイチャイチャできる雰囲気になったのに、何故か銀時が躊躇しているようで、土方が首を傾げた。

「おい?」

「……なんか……そのパジャマとフィギュアが目の毒なんだけど……」

トッシーを思い出させるアイテムが目に付いてその気が散る銀時に、土方が顔を赤くして叫ぶ。

「てめー!俺のお気に入りに文句つける気かコラァ!!」

「パジャマはおめーのかよっ!!」

何はともあれ、今回はちょーーーーっぴりだけトッシーに感謝する銀時だった。



 おわり



……オチを考えていませんでした(笑)
トッシーに振り回される銀さんと土方が好きです。

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