原作設定(補完)

□その21
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玄関から出る寸前で銀時は土方に追いつき、腕を掴んで引き戻す。

今度こそ本当に不機嫌丸出しでむすーっとしている土方に、コノヤローと思いながら言った。

「いくつか質問があるんですけどぉ」

「……」

「もしかして俺のこと騙してたのか?」

本当のことでも騙していた相手から追求されると心苦しくなるものだが、今の土方には素直に謝るとか申し訳なさそうな顔をするとかできそうになかった。

むしろ開き直ったようにつーんとそっぽを向く。

「そーだよ、悪ぃかよ」

バレて嫌われるならもうどうでもいいや、という気持ちの土方だったが、あいにく銀時には通用しなかった。

そういう可愛くないところも、すでに可愛いと思ってしまうところまで来ているのだから。

「俺のこと好きなの?」

「……そーだよ、悪ぃかよ」

「最初から?」

「そーだよ、悪ぃかよ」

「……じゃあ、俺、諦めねーでいいの?」

「そー……」

投げ遣りな返事を繰り返す土方だったが、銀時に言われた言葉の意味を考えている間にぎゅっと抱き締められた。

『諦める?』

そんなつもりで金を用意して“恋人ごっこ”を終わらせようとしてくれたのだと、ようやく気付いた。

「な、なんで……諦めるんだよ……」

「……俺なんかで良いのかなぁって思って……」

普段根拠もなく自信満々で、世の中は全部自分を中心に回っているみたいな勘違い発言の多い銀時が、ネガティブなことを言っているのを始めて聞いた。

銀時なりに“真選組副長”の側にいる意味を、問題を、考えてくれたのだろう。

だけどそれは余計なお世話でしかなかった。土方も真選組の隊士たちも、銀時が何者であれ、彼の“武士道”を認めているのだから。

土方は銀時の体を抱き締め返す。

「…俺なんかには、てめー程度のヤツで丁度いいんだよ……」

銀時を真似て下卑てみる。自分だってたかが真選組の副長でしかないのだ。

可愛い返事と反応に、銀時は笑いながら土方の体温を満喫して…………むらっときてしまった。

ぎゅーっと抱き締め合っていることに恥ずかしくなってきてしまった土方が、身動ぎするがそれを封じられてしまう。

「おい……」

「……なんかムラムラしてきちゃったんですけど」

「!!!」

あの時と同じことを言われ、抱き締められているだけに土方もモロに思い出してしまった。

銀時の声、匂い、体温……思い出せばムラムラしてくるだけの欲は土方にもある。

「……したらいーだろーが」

「まじでか…………今?」

「……夜まで待てるのかよ……」

誘ってはみたものの、まさか真昼間の万事屋でその気になってくれるとは思わなかった。

きっと顔を真っ赤にしてそれでも嬉しそうな顔をしてくれているんじゃないかと思うと、ますます愛しくなってしまう。

幸い新八たちは仕事でしばらく帰ってこないし、酔って曖昧な記憶のあの日をやり直して土方の気持ちを再確認したら、稼いだ金で酒でも奢ってやろうと思う銀時だった。



 おわり



終わりました〜。なんでこんなに長くなったかなぁ(笑)
ありきたりなネタだったのに、ずいぶん引っ張ってしまってすみません。
書き逃したセリフとか設定がちまちまとたくさんあるんですよ。
いきあたりばったりで書いた結果でした。
でも、やっぱり原作設定好きだぁぁぁぁ。

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