原作設定(補完)

□その20
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一方、万事屋。

「……ゼィ……ゼィ……ゴホッ……」

もこもこに着込んだ格好でソファに座り新八の作った粥を食べながら、銀時はしっかりと風邪を悪化させていた。

「薬飲んでも全然治りませんねぇ」

「銀ちゃんに感染するような風邪が、薬で治るわけがないアル」

隣で鍋から直接すするように粥を食べる神楽をうらめしそうな目で見ながら、味も素っ気も無い粥をしぶしぶ飲み込む銀時に、新八が聞きにくそうに問いかける。

「……あの……もしかしてなんですけど…銀さん、付き合ってる人とかいます?」

「いるわけないアル」

「なんでお前が断言んんん!? ゲホッゴホッグホッ」

神楽の速攻断言に、ついついだみ声でツッコミを入れから咳き込む銀時。

「……はぁ……な、なんでですかね……」

「今、“カップル風邪”とかいうのが流行ってるらしいんですよ」

「なにアルか、そのバカ丸出しの風邪」

「それが、カップルが一緒にいるときに感染すると、好きな気持ちが大きいほど、離れているとどんどん症状が悪化する風邪らし……銀さんっ!?」

新八の話が終わらないうちに銀時はソファから立ち上がり、玄関に向かって飛び出した……つもりだったのだが体がいうことをきかず、斜めに歩いて寝ていた定春の体にボフンと突っ込んで行った。

そのままぐいぐいと前進しようとするので、定春が嫌そうな顔をしている。

「銀さんっ!! 無茶ですよ、そんな体で…」

駆け寄ってきた新八が銀時の身体を引っ張って起こそうとするが、

「離せ、ぱっつぁん…すぐに行かねーと……多串くん、銀さんのことごっさ大好きだしぃ、もしかして死んじゃうかもしれないじゃんんん」

なんて喚く銀時に、新八はぎょっとして手を離してしまったので、銀時はまた定春にもっふーと突っ込んで行く。

「お、多串くんって……土方さんんん!?」

「私は知ってたアル」

「え!?そうなのっ!?」

「二人で団子食ってる銀ちゃんの顔が、ごっさ嬉しそうだったアル」

納得顔の神楽にそう言われ、初耳だった新八は複雑な気持ちだったが、こんなに風邪を悪化させている銀時の気持ちは本物なのだろう。

「…分かりました。屯所まで連れて行ってあげますよ」

「…ぱっつぁん…」

うるるっと感動しているらしい銀時に手を貸し、2人が玄関まで向かっているときチャイムが鳴った。

「はーい」

「…俺だ…」

新八が返事をすると扉の向こうから掠れた声が聞こえ、銀時がふらふらした足取りながら急いで駆け寄り扉を開ける。そこには真っ赤な顔の土方が立っていた。

「多串くんっ。今そっち行こうと…」

「…万事屋、大丈夫か?…」

二人ともお互いの無事を確認してほっとしたあと、ようやく自分達をじっと見つめる視線に気が付く。


土方の後ろには、土方と同じ症状の銀時を見て楽しそうな沖田と動揺している山崎。銀時の後ろには、銀時と同じ症状の土方を見て照れ臭そうにしている新八。

内緒にしていたことがバレたんだとお互いに解したら、無事を確認した安堵感も合わせて頭がぼーっとしてきた。

「……あるら、お揃いで……ご苦労様ですぅぅぅ」

へらっと笑ったあと、その場にぐったりとへたり込んでしまった。

「銀さんっ!?」

「副長ぉぉっ」

駆け寄ってくる部下と従業員の声を聞きながら、二人は手を握り合って気を失った。




銀時と土方を部屋に運んで布団に寝かせた後、ソファに座ってお茶を飲む新八たち。

「まさか旦那と付き合ってたなんてねー」

「……ぷぷっ……くくくっ」

楽しそうに笑いながら寝ている二人を携帯で撮影する沖田に、三人は溜め息をつく。

「……治ったら大変だ」

土方が屯所に戻るころには、食堂のおばちゃんたちの友達にまで二人の関係が広がっているはずだ。

「銀ちゃんは大丈夫ネ」

「……そうだね」

「え?そうなの?」

「きっとずっと話したかったネ。バレてラッキーとか思ってるアル」

「大変なのはそれに付き合う僕たちのほうです」

銀時ならそうかもしれない、と思いつつ、そうしたら土方も怒りながら嬉しそうにするのかもしれない。

「……そっか。じゃあ、副長も大丈夫かな」

部下と子供たちに悟られてることを知らずに、一緒に布団に突っ込まれて呑気に寝る二人だった。



 おわり



仕事中にこういうバカな話を考えてはニヤニヤする私(笑)
ほとんど一緒にいない話でしたが、超イチャイチャでしょう。
こういうイチャイチャが大好物で大変です。
すみません、ウザくて(笑)

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