原作設定(補完)

□その19
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#188

作成:2016/03/12




夕方の万事屋。

新八が神楽を連れて帰ったあと、銀時は酒のつまみを用意しざっと部屋を掃除したあと、和室の窓辺に腰掛けて外を見た。

昨夜降り積もった雪は翌日の晴天でも完全に溶けることはなく、おかげで通りは雪と解けた水でぐちゃぐちゃになっている。

ようやくの非番にせっかく会いに来てくれるのなぁ、なんて思いながら通りを見ていた銀時は、一瞬凍りついた。けっして寒かったからではない。

それから弾かれたように立ち上がり玄関まで走って行く。

裸足のまま扉の外に出たとき、ちょうど階段を登って姿を見せた土方に向かって叫んだ。

「なにその格好ぉぉおお!!」

「……いつもと同じだろうが」

いきなり怒鳴られてちょっとムッとした土方だったが、銀時が怒鳴ったのも無理はない。

「うん、そうだね。いつもと全く同じだね。だけどね、土方くん。昨日は雪降ったでしょ?道路は雪解け水でぐちゃぐちゃだったでしょ?なのになんで、いつもの着物と草履だけなんだぁぁああ!!」

きょとんとしている土方は真夏のときと同じ服装をしていた。上着も羽織らず、足袋も履かず、寒々しいことこの上ない。

言われて自分の着物から足元へ視線を巡らせた土方は、足が泥で汚れているのにようやく気付いた。

「ああ、汚れたな。なにか拭くもの……」

このまま部屋に上がるのは悪いと思ったらしいが、銀時の言いたいことはソコじゃない。

土方の正面に立ち少し身を屈めると、太ももあたりに両腕を回し、

「よいしょ、っと」

と気合いを入れて抱き上げる。

同じ体格の男を抱き上げるのはだいぶ無理があるが、頑張ってカッコをつけて風呂場へ向かって歩き出す。

「おいっ」

「めんどう。直接連れてった方が速い」

土方からの苦情をさらっとかわして風呂場に入り、土方を浴槽のふちに座らせるとシャワーから流れるお湯を汚れた足元にかけた。

泥が流され温まっていく足。

なぜか楽しそうに自分の足を洗う銀時に、不服そうな声をかけるが、

「自分でできる」

「はいはい」

またしてもさらっとかわされてしまった。

楽しいなら放っておいても良かったのだが、丁寧に泥を擦っていく銀時の手の動きがくすぐったくて、段々変な気分になってきた。

そうなると一人で楽しんでいる銀時に腹が立ってくるもので、手を伸ばしシャワーの蛇口をひねって湯を止める。

「もういい」

「あ?まだ……」

足はすっかり綺麗になっているのだがもうちょっとこうしていたかった銀時に、

「…二人で温まったほうが早いだろーが」

頬を赤らめながら拗ねるように言ってやった。そもそもそのために来たのだから。

銀時もぱっと頬を赤くしてもじもじする。

「え………一緒に風呂……入る?」

「断る!」

そこは頑として。

「ええぇぇええ」

がっかりして不満の声をあげる銀時を無視し、土方は風呂場を出て棚からタオルを取って足を拭いてからリビングに向かう。

良い匂いがしてるってことは何か食べ物を用意しているのだろうし、それを食べて酒を飲み食欲を満たしたら今度こそ二人で温まろうと思う土方だった。



 おわり



すみません。イチャイチャしたいだけの話でした……いつもどおりチューもないイチャイチャですが。
抱っこして風呂場まで運び足を洗ってやる、を書きたかっただけなのでオチまで付けるのは面倒でした(笑)


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