原作設定(補完)
□その19
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#185
作成:2016/03/06
夕食後の万事屋で、三人はテレビを見ていた。新八が泊まりだったため夕食も食後のお茶も自動で出てきて楽チンだった。
その新八が見たいと言うので仕方なく見ているドラマ。お通が主役の友達という微妙な役で出ているらしい。
興味なさそうな銀時がジャンプを読んでいると、恋愛ドラマだけにやたら長いキスシーンが流れた。
家族と見ている的な気恥ずかしい気持ちで目を反らした新八は、食い入るように見ている“二人”に気が付く。
好奇心旺盛な神楽はともかく、銀時までもがじーっと見入っているのだ。
“銀さんモテなさそうだしご無沙汰だったら無理もないか”なんてことを考える新八だった。
その失礼な考えは半分は当たっていた。
チューだのハグだのは随分してなかったが、相手がいないわけじゃない。
真選組の鬼の副長と呼ばれる土方十四郎と付き合い始めて二ヶ月が経っていた。
青臭い話だが、お互い好きなのだと気付いて告白し合い、正式にお付き合いという手順を踏んだ。
そのせいかなんとなくタイミングを逃してしまい、未だにチューもハグも、もちろんそれ以上もしていなかった。
もちろん銀時としてはいつでもしたい気持ちは満々なのだが、なにせ土方が忙しくて会う時間が少ない。
市中見回りで時々お茶をしたり、たまーーーの非番に一緒に酒を飲んで話したり。
じっくりまったりとイチャイチャできる空気に持っていく時間がなかった。
それでも、よりにもよって“あの”土方と付き合うことができたのだから、その幸せを噛み締めてゆっくりいこうと思うのだった。
が、その幸福のための貴重な時間だったのに、デートの約束に土方は現われなかった。
あんな仕事なので不測の任務はあるもので、連絡無しのドタキャンでも仕方ないと思う。
しかし翌日になっても連絡はない。今までは必ず謝罪の電話があったのに、電話も見回りで会うも無かった。
携帯に連絡してみたのだが出ないし、付き合ってることは秘密なので屯所に直接は連絡も出向きもしにくい。
心配しつづけて数日後、夢を見た。
そこま真っ白な空間。“ドラゴンボーズ”に出てくる例の部屋のようで、すぐに夢だと思った。
そこに黒く横たわっている物が見え、近寄ってみると土方だった。
駆け寄って抱き起こしてみたが土方は熟睡しているようで起きない。名前を呼んでも揺さぶっても起きない。
諦めて“寝顔も可愛いなぁ”なんてじっと見つめていたら、パチッと目を開けて起き上がる。
そして銀時の首に腕を回し身体を寄せてきた。
夢だというのにドギマギしている銀時に、唇を重ねようとぐぐっと近付いてきた瞬間、夢から醒めた。
目が覚めてそれをはっきり覚えていたことで、余計虚しくなってしまう銀時。
しかも当の本人には全然会えないし、それから毎日同じ夢は見るし。
“どんだけ欲求不満なんだ俺は”と落ち込んでいるとき、新八から聞いた話で不安が増した。
「最近、近藤さんの姿を見ないんですよね」
土方が忙しいなら近藤だって忙しいのは当然だろう。
「でも、どんなに忙しくても近藤さんはストーカーを忘れないですよ? よく隊士の人が連れ戻しに来てましたし」
確かに、土方もそれでよくぼやいていたことを思い出す。
ということは、近藤がストーカーできないほどの理由が何かあるのではないか。
そしてそれは土方が姿を見せないことと関係があるのではないか。
迷惑かと思って土方に無理矢理連絡を取ることをせずにいた銀時だったが、そうも言っていられない状況なのかもしれない。
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