原作設定(補完)

□その19
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#183

作成:2016/02/21




しんと静まりかえった埃臭い建物の中を、土方は壁に背中を付けるようにしてゆっくり足を進めて行く。

真選組が過激攘夷党の隠れ家に突入した際、幹部の一人に逃げられた。

それを数名の隊士を連れて追った土方だったが、はぐれてしまい単独でこの建物に入った。

長い時間をかけて一網打尽にできる計画だったのだから逃したくない。

隊士たちが追いついてくるまでに何とか居場所だけでも確認しておきたいと、息を潜めて気配を探っていたとき、奥からコツコツと足音が響いてきた。

土方が立つ廊下を曲がった奥からこちらへ向かってくる。

壁際ギリギリまで進み音を立てずに刀を抜き、だんだん近付いてくる人影のつま先が見えたと同時に喉元に向かって刀身を突きつけた。

もちろん首をはねるつもりなどなかったが、その一撃で動きを封じるつもりだった。

が、堅く重い衝撃でその刀は止めれ、ふわふわした銀髪が姿を見せた。

「よ、万事屋っ」

「物騒だなぁ、土方くん」

のん気な顔と声でそう言った銀時の手には彼の愛刀が握られていて、またしても木刀ごときに剣を止められたことになる。

土方は不機嫌そうに銀時を睨みつけながら刀を下ろした。

「…ちっ……何してんだてめー」

「お仕事ですよ〜。見なかった?このコ」

懐から出した“猫を探しています”と書かれた写真付きの紙。どうやら迷い猫を探してこの建物に入ってきたらしい。

「んなもん探してる場合じゃねぇ!ここにはな……」

ついついいつもの調子で怒鳴りつけようとしたとき、二人の間を通り抜けた風に火薬の匂い。

ハッと身構えたと同時に、爆発音と破壊された壁が土方に体当たりしてきた。

「!!」

そのまま反対側の壁に叩きつけられ、そこへ崩れた壁が倒れこんでくるのを視界の隅に映したまま土方は気を失う。

銀色の光が見えた気がした。




目を開けて初めて見たのは……。

「……ゴリラ……」

「トシィィイイ!! 大丈夫か!? ……っていうか、今ゴリラって言った?」

「近藤さん、気のせいですぜぃ」

心配そうに見つけるむさい男と、残念そうな顔をしている小僧だった。

やたら白い色の部屋と、消毒液の匂い。

「……ここは……」

「病院だ。逃げた攘夷志士を追って入った建物が爆破されてな。どうやら罠だったらしいな」

「土方さんの失敗でさぁ」

「総悟っ! トシ、気にするな。とりあえず検査入院してちゃんと……」

二人がいろいろ説明してくれているが、意味が分からないらしくきょとんとしていた土方はポツリと呟いた。

「……土方? トシ?……」

首を傾げる土方が冗談を言っているようにも見えないし、そんなユーモアを持ち合わせていないことを知っている。

むさい男が驚き、小僧はなにやら嬉しそうな顔になった。

「ええぇぇえええ!!!?」



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