原作設定(補完)
□その18
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……って思ったのに……思ったのに……。
「な、ななな、何してんだてめーぇぇええ!!」
家で飲みなおそうと誘われて、“友達の家にお呼ばれ”なんてときめいた俺に万事屋がとんでもないことをしてくれた。
ソファで酒を飲みながらくだらない話をしていたはずなのに、隣に座った万事屋が……俺の口に……口に……口を……。
突き飛ばしてやったらきょとんとした顔で、
「何って……ちゅー、ですけど」
なんてぬかしやがる。
「だ、だから、なんでそんなことっ」
「……えーとぉ、“仲良くなりてー”って言ったら、“仲良くしてもいい”って答えましたよね?」
言った。確かに言ったけど……………ええぇぇええ!?そういう意味!?俺の勘違いか!?
「…って、いやいやいや、男に“仲良く”って言われて、すぐそっちには繋がらないだろう!?俺は悪くねぇ!!」
「でもっ、銀さんはそういうつもりで仲良くなりたいんですぅ」
「……てめー……お、男が好きなのか?」
「女が好きに決まってんでしょうがっ」
「……じゃあ、なんで俺だよ……」
「んー……なんでだろうね?」
「俺に聞くなよっ」
やっぱりいい加減で適当でふざけたヤツだ。友達だとか仲良くなれただとか思った自分に腹が立つ。
浮かれて酒を飲んだせいで体に力が入らなくて、蹴り飛ばして逃げることもできない。
「…どけよっ…」
「…どいたら土方くん帰るじゃん」
「帰るんだよっ」
「仲良くしてくれるって言ったのに、前言撤回するんですかコノヤロー」
「当たり前だろうがっ……俺は……友達になれると思ったから……」
言いたくなかったが、現状が情けなくてついついボヤくように言ってしまった。
笑われるかと思ったのに万事屋は口を尖らせる。
「ばっか、おめぇ、これって友達以上に仲良くなるってことですよ」
「………友達……以上?」
「俺は友情より仕事より愛情を優先するタイプだからね。土方くんのことごっさ大事にしちゃうんじゃないかなぁ」
「……仕事よりって……優先する仕事がねーだけだろ……」
「土方くん仕事不規則じゃん。銀さんだったらそれに合わせられるし?気は長い方だからドタキャンしたって怒らないよ」
そういえばそんなこと隊士たちも言っていた。彼女を作っても急な出動になったり非番が変更されたりですぐフラれるって。
万事屋みてーに仕事してんだかしてねーんだか分かんねーぐらいプラプラしてるほうが、俺たちみたいなのには合っているのかもしれない。
それに、チラリと万事屋を見るとさっきみたいに笑うから、ガッカリさせるのも可哀想な気がした。
「土方くん?」
「……分かった……仲良くしてやってもいい……」
「まじでかっ」
万事屋はそのまま俺を抱き締めてはしゃいでいる。そんなに嬉しいのか?
それからちょっと…………すげー痛い思いもしたけれど、万事屋は優しいし楽しそうし、友達以上もなかなかいいものだと思った。
「沖田くんすげーね。アイツあっさり唆されてくれちゃったんだけど、何言ったの?」
「土方さんが単純なだけでさぁ」
おわり
急に思いついて書いた話なんですが、土方がバカワイく書けてますでしょうか。
でもありがちな設定のオンパレードで申し訳ないです(笑)
たまには素直で可愛い土方くんとイチャイチャする銀さんもいいかな、と。