原作設定(補完)

□その18
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#180

作成:2016/02/15




けたたましいドアを叩く音に銀時は布団を飛び起きた。見ると時計は1時過ぎ。

かぶき町自体はむしろ活動時間であるため「うるさい」と苦情が出ることもないが、銀時は慌てて玄関へ向かう。

「はいはいはいはいはいぃぃぃ! ……って、土方?」

扉を開けるとそこには私服姿の土方が立っていて、

「遅ぇぇええ!!俺を待たせるなんて、てめーは何様だコラァ!!……ひっく」

酔っていた。かなり。

開いた扉からもつれる足取りでなだれ込んできた土方に手を差し伸べる。

「ちょっ……何やってんですか?仕事は……」

「終わったから飲んでんだろうがぁぁ!…んだぁ?会いにきちゃ迷惑なのかよぉ」

「そんなわけないでしょうが……あ〜あ、どんだけ飲んだんだよ」

二人で飲んで酔っ払うことはあっても土方だけ酔ってるという状況は珍しいため、銀時は戸惑いながら土方の身体を支えて中へと運んだ。

ずっと仕事が忙しいとかで会えないし連絡もとってなかったのに、ようやく姿を見せたかと思うとコレだ。

ソファに座らせるとぐったりしながらも土方は超ご機嫌で、仕事が忙しい中に泥酔するようなタイプじゃないから片付いて気が緩んだのだろう。

「ったく……酔う前に来てくんないとイチャイチャできないだろうが」

銀時が洩らした本音に、土方がキッと難しい顔をして叫んだ。

「それだ!」

「…どれ?」

「てめーに聞きてーことがあってわざわざ来てやったんだコラァ!」

「…はいはい、なんですか?」

銀時が溜め息をつきつつ隣に座ると、酒臭い息を目の前で吐きながら土方からの、

「てめー……なんで俺と寝てんだっ!」

とんでもない質問。

酔った勢いとなんとなくで続いてきた二人の関係を、ちゃんと言葉にしたことがなかっただけに、さすがに銀時も動揺する。

「な……おまっ、何を言い出しちゃってんのっ」

「聞いてんのは俺だぁっ! てめーなら……相手に不自由はしてねーだろ……なんで俺だよっ」

「……嫌味か。モテねーの知ってるくせに」

「…そういう意味だけじゃねーのも知ってんだろ」

「お前ねぇ、“助けてもらった主人公に惚れちゃう女”なんて漫画だけだから。そりゃあ銀さんは主人公だけども、現実はそんなに甘くねーから」

自分で言いながらちょっと寂しくなってしまった銀時にかまわず、土方はさらにグッと詰め寄ってきた。

「……言えっ」

声は真剣だったが目がとろんとしてる。

酔ってなければこんなことを言い出すようなヤツじゃないし、銀時としてもどう答えたらいいのか悩むところだ。

「……そんな酔ってたら言ってもムダじゃね?」

「ナメんな。この程度の酒で記憶失くしてたら真選組の副長は張れねーんだよっ。酔ってたって寝てたって大事なことは忘れねぇっ」

分かるような分からないような理屈を述べる土方に、銀時は深い溜め息を付いた。

顔を伏せて頭をボリボリ掻きながら、言葉を探す。

聞きたいと言うのなら聞かせてやろうと思うが、それなりに気合が必要なのだ。

決心と共にもう一度溜め息を付いて、改めて土方を見たら、

「くかーっ」

口を開けて寝ている土方にがっくりと項垂れる。

「お約束ですかコノヤローっ」

酔っ払いに振り回された自分が恥ずかしくなってきてしまう銀時だった。



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