原作設定(補完)

□その18
13ページ/18ページ

#179

作成:2016/02/13




※最初に申告しておきます。これは“市川けい(百計)さん”のバレンタインネタをパク……参考にしてます。
“土方が作ったいまいちのチョコケーキをごっさ嬉しそうに食べる銀さん”に超萌えしたのでパク……参考にさせていただきました。
オチ以外は変えてますが不快に思う方はスルーしてださいm(__)m



ぽかぽか陽気に眠くなる頭をなんとか働かせて根をつめていた書類整理の一区切りに、土方は大きい溜め息をつく。

一息入れてみたらなんとなく小腹が空いたなと思ったとき山崎がやってきた。

終わった書類を回収し、

「あ、それからコレ……預かってきました」

そう言いながら山崎が差し出したものに、土方は眉間にシワを寄せる。

シンプルな紙袋から漂うチョコ臭。日付を確認しなくても今日がバレンタインデーだというのは分かっていた。

「…てめー…知らねーやつからんなもん預かってくるなって言ってんだろうがっ」

外に敵の多い真選組である。信用できない人間から受け取ったものをうかうかと口に入れるわけにはいかないのだ。

バレンタインデーに真選組の隊士にチョコを贈りたいという女も多いが、預かってくるのは禁止だと言い渡してあったのに。

睨む土方に、山崎は無表情で答えた。

「承知してますが、知ってる人だったので……万事屋の旦那からです」





私服で極秘のお使いから帰り途中の山崎は、まったく気配も感じさせず背後から名前を呼ばれた。

「やっまざっきく〜ん」

「うわぁっ!だ、旦那、驚かせんでくださいよ………って、今、山崎って呼びましたっ!?」

いつもののん気な顔で立っていた銀時が名前を呼んだことに、とうとう覚えくれたのかと思ったが、

「お願いがあるんだけど」

裏があったようだ。がっかりする山崎に紙袋が差し出される。

「それおたくの副長さんに渡してくんね?」

袋の中から漂うチョコの香りと、土方から気まずそうに報告された銀時との関係を繋げたら、意味はすぐに分かった。

そんなラブイベントに係わりたくないと思った山崎は率直な意見を返す。

「……自分で渡せばいいじゃないですか」

「いやいやいや。渡すのも受け取るのも照れるでしょ、恥ずかしいでしょ、そんなの不気味でしょ」

現在ちょっと照れてる銀時に、確かに不気味だと納得して山崎は紙袋を受け取った。

「でも副長は今日忙しいと思いますよ」

「そんなの分かってますぅ。ちゃんと渡せよジミー、お願いします」

そう言いながらのん気な足取りで立ち去る銀時を見送る山崎だった。





「……な……」

思いも寄らぬ相手からのチョコに土方は動揺を隠せない。付き合ってるのだからおかしいことではないが、お互いそういうことをするタイプじゃないはずだ。

「どうしますか?処分しましょうか?」

しれっとした顔で山崎にそう言われ、土方は渋い顔をする。

「……いい……」

「分かりました。じゃあ、お茶をお持ちしますね」

忌々しいほどに気の利く山崎にさすがに文句は言えず、紙袋には興味がない素振りをするしかなかった。

とはいっても、お茶を持ってきてそのまま何も言わず立ち去った山崎にはお見通しだったかもしれない。

静かになった部屋で、ようやく紙袋を手に取った。

紙袋の中には長方形の箱。開けると直系10cmぐらいの丸いチョコ生地のケーキのようなものが3つ並んでいた。

甘い物が苦手な土方は、“一個で良いの”にと思いながら1つを手に取る。

間違いなくチョコ系なのだろうから一瞬躊躇ったが、何か良い香りがしたので思い切って食べてみた。

チョコ味のしっとりした生地だが思ったよりも甘くなく、そして口に広がるマヨネーズの味。

齧った断面を見ると中に淡い黄色のクリームが入っていた。

『マヨクリーム……ってことは……』

そんなクリームを使ったケーキなんて売ってるわけがない。

土方は食べ半端のケーキを箱に戻して紙袋に突っ込み直すと、それを持って部屋を飛び出した。


.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ