原作設定(補完)
□その18
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暇さえあればストーカー行為に忙しい近藤が、珍しく市中見回りに出るというので副長、隊長勢ぞろいで屯所を出発……しようとしたとき、開門された先に銀時が立っていた。
仁王立ちで顔は険しく、討ち入りかと思わせる雰囲気に全員がぎょっとする。
「万事屋?何やってんだ?」
もちろん土方に会いに来たのだがそれを知らない近藤が話しかけても答えない。
“逆ギレかよ”と言いたくなる態度で強引にどこかに連れて行かれるのかもと土方が身構えたとき、
「ホント、マジですいまっせんでしたぁぁああ!!」
銀時は両手と額を地面につけて深々と謝罪してきた。
さらに驚かされた近藤たちだったが、
「ど、どうした、万事屋!?誰に謝って………トシ?」
一人厳しい表情で銀時を見つめている土方に、銀時が謝っている相手が土方なのだと気付いた。
こんな大勢の前で土下座したまま動かない銀時に、土方が声を絞り出すように言う。
「………ホントに分かってんのかてめー」
「分かってます。お……俺、も……好き、なんで、許してくださいっ」
とんでもないことを言いだした銀時だが、顔は上げなくても耳が真っ赤なのでマジ告白なのだというのは分かった。
そして告白を聞いた土方が銀時に近寄って、土下座したままの身体を上からぎゅっと抱き締める。
「……次はねーからなコラァ」
「…はい…」
どうやら一件落着のようだが、寝耳に水だった近藤たちはどう反応していいか分からない。
鬼の副長と呼ばれている土方が、まさか男と、しかも銀時とそういう関係になっているとは。
動けないでいる近藤たちだったが、土方に抱き締められたままの銀時が手だけで“しっしっ、どっかいけ”と合図してきたので、
「さ、さあっ、見回りに行くぞ、みんなっ!!」
「お、おうっ!」
慌てて退散するのだった。
静かになった屯所前で、抱き締めたまま土方が全然動かないので銀時が声をかける。
「土方くん?」
「ど、どど、どうしてくれんだてめー」
銀時の思わぬ行動につられてしまった土方だが、ようやくとんでもないことをしでかしたことに気付いたようだ。
近藤たちの前でいろいろぶっちゃけてしまったことに、真っ赤になっているのが分かるから、
「ぶふっ、公認になってハッピーエンドじゃね?」
「気持ち悪いこと言うなぁぁ!!」
銀時がのん気なことを言って笑い飛ばしてやると、嬉しそうに怒鳴り返してくれる土方だった。
おわり
半分で区切ろうかと思ったんですが、短いので書ききってしまいました。
まぁ、いつのもバカップルですねぇ。よくある話ですみません。
銀さんの土下座が好き(笑)