原作設定(補完)

□その17
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“小話その8”

屯所の副長室で土方は大きく息を付いた。

机の上に山積みだった書類の半分が片付き、朝からずっと掛かりきりだったのでちょっと一休みしたいなと思っていたときだった。

騒がしい足音をたてて走ってくる足音は副長室までやって来て、襖をバーン!と開ける。

何事かと振り返っていた土方は、飛び込んで来たのが銀時だったことに二度びっくり。

「……な……何してんだてめー」

「チビトシがっ!!」

真剣な声だったが土方はきょとんとしている。銀時は慌てた様子でも、当のチビトシは銀時に抱っこされて元気そうしているからだ。

ぴょんと飛び降りたチビトシの隣に銀時も膝をつく。

「……なんだよ」

「チビトシ、ほら」

銀時に背中を軽く押されたチビトシは、ちょっとモジモジした様子で土方を見上げると、

「……と、としろ………さんぽ………いこう!」

たどたどしく考えながらそう言いきってドヤ顔をするチビトシと、嬉しそうに笑う銀時。

土方の胸にも嬉しさが込み上げてくる。

「ち、チビトシが……三文字喋ってるじゃねーか」

「そうなんだよぉ、さすが俺の子」

「さすが俺に似た子」

チビトシの頭上でお互いのセリフにカチンときた二人がにらみ合う。

「あらやだ土方くん。チビトシは俺が産んだんだからママって呼ぶなって言ったじゃなぁい」

「それとこれは話が別だ。見た目が似ると頭の良さも似るもんだ。だからチビパーはてめーにそっくりだろうが」

「アイツがパーなのは土方が産んだからですぅ」

「てめーのパーが移ったからチビパーもパーに……」

怒鳴りあっていた二人は、間に居たチビトシが走り出したのを見て動きを止めた。

視線の先には、しょんぼりと肩を落として小さくなっているチビパーと、それを慰めるチビトシ。

さすがに酷いことを言ってしまったと気付いた。

「あ、や、お前のパーはそういうパーじゃなくて…」

「いーや、頭が悪いって言いましたぁ」

「てめっ、俺だけのせいにすんなよっ」

二人がまた睨み合いそうになったとき、チビトシはチビパーの手を握り、

「さんぽ……いこう?」

そう言って笑う。落ち込んでいたチビパーも顔を上げ、小さく笑ってこっくりと頷いた。

チビトシがしっかり大人びた態度を取っているのに、大人なのに大人気なく喧嘩していた自分たちが恥ずかしくなってきた二人。

土方はチビパーの元まで行くと、

「散歩行くか。甘いモン、なんでも買ってやるから」

チビパーは土方を見て、そして銀時を見る。

「………今日だけチビトシと手ぇ繋いでいいぞ」

銀時なりのかなりの譲歩だった。

「さんぽ、さんぽ」

「ぽー」

嬉しそうな二人を見て土方が嬉しそうなのが嬉しい銀時。

仲良く四人で散歩に向かう姿を、呆れた顔で見送りながら携帯で証拠写真を撮る沖田だった。

『バカップル、改め、バカ親子でぃ』






“小話その9”

チビトシが土方にバレたあと、万事屋で銀時がボソリ。

「…さっきさー、チビトシが天人の卵から産まれた人間じゃないって知ってホッとしたろ」

「……してない」

「なに?なんか心当たりがあるんですか?」

「ない」

「妬けちゃうなぁ、銀さん。だよね、土方くんモテモテだもんね。うっかり失敗しちゃって隠し子の一人や二人……」

「ねーって言ってんだろうがっ」

「どっちが?失敗?隠し子?」

「……ど、どっちもだよ」

「ふーん」

「……なんだよその目は」

「ま、いいけど。土方がどこで何をしようが関係ないしねー」

『……だったら言うんじゃねーよ……』

「なぁんて言うと思ったら大間違いだから」

「……あ?」

「許しませんからねっ、俺以外のヤツとやったりしたら」

「…な、何言ってんだてめーは……」(ちょっときゅん)

「お前のは1滴残らず俺のもんだからっ、他で撒き散らしたりしたらもったいないだろうがっ!!」

「……まき?」(じっと見てるチビトシ)

「て、てめーっ、ガキの前で何言ってんだコラァァアア!!」

「ぐっはぁぁああ!!」


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