原作設定(補完)

□その17
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“小話その6”

チビトシと手を繋いで歩く銀時。土方は数歩後ろを着いて来る。

「なんでそんな後ろ歩くんだよ」

「並んで歩いたらへんな誤解されんだろうが」

普通、子連れの男二人を見てへんな誤解をする人は少ないだろうが、なまじ誤解じゃないことを自覚しているだけに土方は多少自意識過剰だ。

それを言ってやろうとしたとき、前から本物の家族連れが歩いて来た。

両手を父と母に繋がれた小さい子供が、持ち上げられてきゃっきゃとはしゃいでいる。

それをチビトシがじっと見ていた。

銀時と繋がった手をぎゅっと握り、空いている手を見てから、ちらっと土方を振り返る。

何を考えているのか分かった。分かったが、それはあまりにもアレだ。

土方がぐっと躊躇っているのに気付いたチビトシがしょんぼりと肩を落とす。

その様子を見た銀時がじぃっと非難がましい目を向けると、土方は睨み返し、銀時はわざとらしく涙を拭くような仕草をした。

二人のやりとりに気付かずしょんぼりしたままのチビトシの背中は、本当に小さいけれど益々小さく見えて……。

土方は数歩前に進み出ると、チビトシの空いた手を取った。

両手が塞がったチビトシはにっこりと本当に嬉しそうに笑うので、土方も、恥ずかしいけれど胸がほっこりと暖かくなる。

銀時がさっきの家族連れを真似て腕を上げた。

土方もそれに倣うとチビトシの身体は簡単に持ち上がり、ぶら下がるのが楽しいらしく笑っている。

そして、やっぱり家族団らんイチャイチャの三人だった。




“小話その7”

万事屋のテーブルの上でチビトシはチョコを発見した。

マヨ好きは土方と同じだったが、銀時にも似て甘い物も好きなチビトシはぱっと顔を輝かせてそれを両手で持つと、和室の陽の当たる場所で座った。

紙とアルミをぺりぺりと破り、あーんと口を大きく開けたとき、

「あれ?俺のチョコ見なかったか?」

隣の部屋から聞えてきた銀時の声。

「知らないアル」

「銀さん、またチョコなんか食べて……」

「1週間ぶりですぅ。我慢してるんですぅ。これでも銀さん大人だから……和室だったかな」

大人なのにチョコ一枚に真剣になっているのだから、子供二人は大きな溜め息をつく。

和室に入ると窓のほうを向いてチビトシが座っていた。

「?」

いつもなら銀時が居ると嬉しそうに寄ってくるのに動かないチビトシ。

寝てるのかと近付いてみたら、大きく開けた口を閉じて持っていたチョコを銀時に差し出す。

黙って食べようとしたのが悪かったと思っているらしく、その申し訳なさそうな顔に銀時は吹き出してしまった。

『可愛いな、オイぃ』

チビトシの隣に座ると、差し出されたチョコの端っこを掴んで割ると、

「半分こ、な」

そう言ってやった。

チビトシの手にはだいぶ大きく残っていて全然半分こではなかったが、銀時が笑っているのでチビトシも嬉しそうに笑う。

そして二人で並んでチョコを食べるのだった。





万事屋のテーブルの上でチビパーはチョコを発見した。

銀時とそっくり同じで甘い物が好きなチビパーはにやりと笑ってそれを両手で持つと、和室の陽の当たる場所で座った。

紙とアルミをぺりぺりと破り、あーんと口を大きく開けたとき、

「あれ?俺のチョコ見なかったか?」

隣の部屋から聞えてきた銀時の声。

「知らないアル」

「銀さん、またチョコなんか食べて……」

「この間のはチビトシと分けちゃったから仕方ないんですぅ……和室だったかな」

和室に入ると窓のほうを向いてチビパーが座っていた。

「?」

何かやっているようだと近付いてみたら、ほっぺたを膨らませてチョコを食べている。

「……おい」

「…………」

銀時に気付いているのにおかまいなしでもぐもぐ食べ続けるチビパーに、不機嫌そうに声を掛けたがチョコは全部口に入れられてしまった。

ぱんぱんのほっぺたと茶色くベタベタの口が憎たらしいと思っていると、チビパーは『仕方ねーなぁ』という呆れた顔をして口の中から一塊になったチョコを取り出し銀時に差し出す。

『半分こ、な』という仕草をするので、

「いるかぁぁあああ!!!」

そう叫ぶ銀時だった。


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