原作設定(補完)

□その16
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翌日、朝から昨日の続き(猫探し)に出かけた三人に、土方(猫)は留守番となった。

今なら元に戻るチャンス!と思っていたのに願いは叶わず落ち込む土方と同じように、収穫がなかった三人もしょんぼり。

「銀さん、今日は飲みに行くんですよね?神楽ちゃんと一緒に帰りますよ」

「おー。よろしく」

「猫も連れて行くアル!姉御に見せてあげたいネ!」

神楽がそう言って土方(猫)を捕まえようとするので、慌ててソファから飛び降りた。連れて行かれた先で元に戻ったらとんでもないことになる。

ぴゅーっと走って銀時の後ろに隠れたら、

「そんなに銀ちゃんが良いアルか? でも今日は銀ちゃん居ないアル」

神楽が不満そうな声を上げるので、銀時がフォローを入れた。

「…神楽、そんな遅くならねーから大丈夫だよ」

会えなければ出かけないし、会えても神楽が居ないなら万事屋に戻ってくることになる。

神楽が諦めて新八と出て行くと、銀時は椅子に座って何度か躊躇ってからデスクの上の受話器を取った。

その姿をソファの上に飛び乗って見つめる土方(猫)。

慣れた手つきで11桁の番号を回し、しばらく待たされた後、一瞬嬉しそうな顔をしたのにすぐに顔をしかめた。

「……もしかしてジミー? 土方、どうしたの?」

どうやら電話の相手は土方だったようで、屯所に置きっぱなしの携帯電話に山崎が出たらしい。

“マズイ”と焦ってしまったが、思っていたより山崎は気が利く部下だったようだ。

「…急な出張? おまけに携帯忘れてった? なにやってんのあの子」

本当のことを言わず無理のない言い訳をしてくれた。

まあ銀時との関係を知らないのだから、一般市民にうかうかと真選組の一大事を漏らしたりはしないだろう。

「…や、たいした用じゃねーんだけど………じゃあ、戻ったらよろしく〜」

銀時のほうも“土方の携帯に直接電話した”言い訳をして電話を切った。

そしてそのままぺたーんとデスクの上に上半身を伸ばす。

「ちぇーーっ………つーか、出張っていつ戻ってくんだよ……もう何週間二人きりで会ってないと思ってんですか」

思いっきり残念そうなその声に土方(猫)も胸がきゅんと苦しくなるが、

「そろそろ限界だからね……銀さんの銀さんがっ」

『そっちかよっ!』

下品なオチにときめきはむかつきに変わった。どうせ昨日のがっかりした様子もソレが原因だったのだろう。

やっぱり寂しいと思っているのは自分だけだと思ったとき、デスクに伏したまま拗ねる銀時の声が聞えた。

「……はぁ……こんなに会いてーと思ってんの、俺だけなんだろうなぁ……」

『!!』

ぎゅーっと胸が締め付けられる。銀時がどんな気持ちでそんなことを言ったのか、分からないほど鈍くない。

土方(猫)はソファからデスクに飛び乗り銀時の名前を呼んだ。

『万事屋っ』

しかしこの姿では「ニャー」と猫の鳴き声になるだけだった。

こんなに寂しそうなのになにもしてやれない自分が悔しくなりながら、顔を上げない銀時に何度も話しかける。

「ニャー、ニャー、ニャー」

「…あ?なんですか……ちょ……」

煩わしそうにようやく顔を上げた銀時に、土方(猫)はすりっと顔を寄せて頬に擦り寄った。

銀時に負けじと劣らず、土方も銀時の前で甘えたり素直になったりはしないが、ときどきそんな風に頬を寄せてくることがある。

たいがいはイタシてる時だったので、無意識にでも甘えてくれてるんだろうと銀時を嬉しがらせてくれた。

そんな仕草を同じように猫がしてきたことに、銀時は思わず吹き出してしまう。

「…しょーがねーなぁ……今日はお前と良いコトするか」

そして猫を掴んで和室に入ると布団に潜り込み、土方の指定席に猫を置いた。

その猫が“土方”だとも知らずに、頭を撫でながら腕枕をしてやると、

「今日はもう寝ちまうのがいいよな。寒いからお前もここで寝てろ」

そう言って“土方”を抱き締めるようにして眠りについた。

土方(猫)は昨夜はソファで寝かされ、猫の毛皮のおかげか寒さは感じなかったけれどなかなか寝付けなかったのだが、今日は柔らかい布団と暖かい銀時の体温に包まれてゆっくりと眠ることができたのだった。



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