原作設定(補完)
□その16
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「……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
今日は長いため息で失礼します。
だってさ、結局あれからずっと……土方とさ、全然話せなかったりしてるわけなんですよ。
町で会っても目も合わせないし、屯所には電話なんかできるはずもないし、携帯番号は……次に会ったときに聞こうと思ってたんですぅ。
そりゃね、酔った勢いでやっちゃったみたいなもんだけどさ、完全無視とか有り得なくね?大人としてどーなのそれ。
俺はずっとずっと好きだったし、アイツも嫌な顔……つーか、むしろ可愛い顔してたはずなんですけどぉぉ!?
なんなんですか、これから銀さんと土方くんのラブラブライフが始まるはずだったのに。
……何が悪かったのかなぁ。正気になってみたら男にやられちゃったのがイラついたとか?しかも俺だしなぁ……
はっ!もしかして俺がヘタ…………いやいやいやいや、銀さん頑張ったからねっ!土方の始めてを大事に大事に……
はっ!もしかしてモテモテの土方は女だけじゃなく男も…………いやいやいやいや、アレは始めての反応だったでしょ、超初々しかったでしょっ。
……他に理由なんてないよなぁ……やっぱりヤッちまったこと怒ってんだろうなぁ。
帰り際に「じゃあな」ってはにかんでたように見えただけで、“二度と顔見せんなっ粗○ンヤロウ”とか思ってたのかもしれねぇ。
……そんなことねーもん、銀さんのは立派は波動砲だもん……
って、一人でウダウダ考えてたってしょうがないでしょうがぁぁああ!!
こうなったら土方捕まえてはっきり聞いてやるっ!!
というわけで、屯所の塀の陰からこっそり出待ちです。今日は非番だし、大勢で飲むの苦手だから一人で出て来るはず。
屯所から出て右側はかぶき町で、俺にばったり会うのが嫌ならきっと左側の別の町へ行くと思います。
「ちょっと出て来る」
「いってらっしゃい」
……ほらね。俺を避けようったってそうは問屋が卸さないんですよ。
「土方」
「!!」
「ちょっと話あるんですけど」
「………俺はねー」
「いや、あんでしょ。なんかあるから俺のこと避けんでしょ」
「………」
「言ってよ。じゃねーと俺も引き下がれねーし」
ちゃんと話し合って分かってもらえたらお付き合いとかしてーのに。ほら、こんなむっつりした顔まで可愛く見える俺って、もう土方と付き合うしかねーじゃん。
何度も躊躇いながらようやく土方は言う気になってくれたみてーだ。
「……別に…俺なんか気にしねーで、ちゃんと好きな奴んとこ行けよ……」
「……あ?……」
ちゃんと好きな奴んとこ来てますけど。
「酔った勢いでいっぺんヤッたぐらいで勘違いしねーから……放っとけよ……」
え?ちょ……怒ってるんじゃないの?そんな……寂しそうな顔されたら………ムラムラするんですけどぉっ!
……じゃないじゃない、え?どういうこと…ですかね?
ヤッちゃったことを怒ってるとか、ヘタクソだったことを怒ってるとか、そういうんじゃなさそう………って、誰がヘタクソだぁぁ!(一人ノリツッコミ)
「あのー……俺、何かしちゃいました?いや、アレをソレしたのは分かってるんだけどっ……他に何か……したんだよね?」
「………“可愛い”って言った」
「…え…」
言ったよ、そりゃ。可愛かったから。
「……だから?……」
「…だからっ……ちゃんとその“可愛い”奴んとこ行けっつってんだよっ!」
ええぇぇえええっ!!?
「……えっと……可愛いって……お前に言ったんだけど?」
「嘘だっ!!」
「断言!? ちょ、おまっ、なんで嘘なんですか」
「だ……だって……今まで“可愛い”なんて言われたことねーし……俺にそんなこと思うわけねーし……」
がっはぁぁっ!!(精神的吐血)ごっさ可愛いぃぃぃぃいいいいいっ!!ちょっ、つまり、俺に他に誰か可愛い奴が居るんだと思って拗ねちゃったの?んな可愛いやきもち反則だろうがぁぁ!!
「…おまっ……バカですか」
「なにを…」
「そういうとこ全部まるっと可愛いっつってんですよコノヤローっ!」
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