虎牛設定(補完)
□その2
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それから2人で村を回り、銀時が用意したプレゼントを配って歩いた。
村に子供はさほど居ないが、もちろんそれぞれが欲しがっているモノなど用意はできないので、適当に作った菓子を詰めてきた。
総悟にだけ特別製の“おなかが痛〜くなる草”入りだ。
そして最後、銀時と十四郎の家の前で、自分で作った自分用の菓子入りの袋と、十四郎の好きなモノを入れた袋を渡す。
「フォッフォッ、これが君たちの分じゃ」
「ありがとうっ、“三太”さんっ!」
二つを受け取って十四郎が満足気に微笑んだので、銀時は任務を完了したようだ。そそくさと帰ろうとする“三太”に、
「そ、それじゃあのう」
「はいっ! 俺、来年も頑張りますっ!」
十四郎は熱い決意を誓って家の中に入って行った。
『ええぇぇええ、来年もぉぉおお!?』
とんでもないことを言われたがそこで動揺している場合じゃない。
着ている服とヒゲを外しながら、急いで寝室の窓から部屋に飛び込んでベッドで眠っているフリをした。
それと同時に部屋に十四郎が駆け込んでくる。
「銀時っ!!」
「んあっ?……なんだよ、十四郎……寝てたのに…」
「“三太”に会えたぞっ!!ホラ、お前の分もプレゼントくれたっ!!」
元気良くベッドに飛び乗り、貰った紙袋を銀時に差し出した。
中身は知っているが、十四郎がわくわくした顔で見ているので開けて菓子を取り出す。
「うまそうな菓子だ。ありがとうな、十四郎」
「違うぞ、くれたのは“三太”さんだ」
「…そうだな。お前のは?」
聞かれて十四郎は袋を開け、中から出てきたモノにぱーっと笑顔になる。
「俺が食ってみたかったマヨだっ!!」
それは十四郎がいつも食べてるモノより数倍高い高級マヨネーズで、ぐっと我慢してよだれを垂らしていたものだった。
その顔が見たくて奮発したし、その顔が見れてさっきの疲れが吹っ飛ぶ。
「“三太”さんに会えて良かったあ。来年も来てくれるかなぁ」
マヨネーズを抱き締めてそう呟く十四郎に、銀時はまた来年もやってしまいそうだと思うのだった。
おまけ
翌日。
「ぐぉぉおお、腹がっ、腹がぁぁぁ!!」
「近藤さんっ!?どうしたんだっ!?」
「“三太”さんにもらった菓子を食ったら急に腹がっ」
「えっ?近藤さんとこには配ってないぞ?」
「総悟に貰ったんだけど……ううう」
『あのヤロウ……疑って食わなかったな……』
おわり
区切りたくなかったので一気に頑張ってみました。
すみません、うちの牛はどうもすっかりバカ仕様で。
年齢は子供でお願いします……大人の牛を想像すると怖いことになるので(笑)