学園設定(補完)

□逆3Z−その2
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坂田が銀だと判明したら最初に聞きたいことは、新八も土方も同じ事。

「というか、その髪どうしたんですか?グレたんですか?」

「お前ね…ホントにグレたやつにそんな聞き方しちゃダメですよ。コレが地毛だし」

「ええっ、でも……」

「ガキのころのほうが染めてたんだ。施設にいるやつがこんな髪してると、いろいろうるせーしな」

確かに目立って興味を引く風貌ではある。小学生がそれを煩わしいと思って髪を染めるほど、面倒な思いをしたのかもしれない。

坂田のことを少し知っている新八が寂しそうな顔をしたので、坂田はにっと笑った。

「ま、ガキのときだけな。中学生になってもういいやって開き直って元に戻したら、意外とウケてさー。“銀ちゃん、カッコイイー”ってモテモテで大変だったわけですよ」

「最後のは嘘ですね」

「少しは信じてくんない?」

2人が笑っているのを見ながら、坂田が現状楽しくやっていることは間違いないようで、それは土方にも嬉しいことだった。

そんなことを考えて油断していたら、

「それにしても凄いです、この学校で銀さんにも会えるなんてっ。ゴリ先生に体育と、土方先生に部活を見て貰ってるんですよ」

新八がそう言って道場を振り返ったものだから、2人とバッチリ目が合ってしまった。

何も知らない新八は無邪気に笑うが、ようやく気付いた土方に坂田は憎たらしい笑みを浮かべている。

坂田はすべて承知の上で何も言わなかったんだと思うと、

「土方先生、銀さんが……」

「部外者は立ち入り禁止っ」

新八が坂田を道場に引っ張ってこようとするのを、素っ気無い言葉で止めた。

だけど聞きたいことも言いたいこともたくさんあったので、

「…外で待ってろ」

そう付け加えて土方は部活動中の生徒のほうに戻って行く。

新八はきょとんとして2人を見比べたが、坂田が嬉しそうに笑っているので気にしないことにした。



数十分後、道場で竹刀稽古の音が聞え始めると、道場の外で建物の段差に座っていた坂田のもとに土方がやってくる。

「なんで黙ってたんだ」

それが不満だという顔の土方に、

「思い出したときにどんな顔をすんのか楽しみで」

なんて言って、希望通りの顔が見れてしてやったりと笑う坂田。



悔しいが本当にまるっと忘れていたのだから仕方ない。

『というか、覚えてたってこんなに変わってたら気付くかぁぁ!』

目の前にいる銀時と、記憶の中の小学生の銀を比べて土方は眉を寄せた。

髪はもちろんだが、あのころの銀は10才にしても体は小さめだった。“華奢な体なのに強い”というのが印象的だったのに、今じゃ土方よりもちょっと体格が良いほどだ。

それと目つき。子供だから当然なのだが、純粋で無邪気でそれでもやる気のある生意気な目は、死んだ魚のようなだらしのない目つきになってしまった。

時の流れというのは怖いものだと思いながら、それでも唯一変わっていなさそうな髪の毛に手を置く。

一度だけ触れたもふもふっという感触は同じだったので、思い出して土方が小さく笑うとその手を銀時に掴まれた。

「先生」

あの時は両手でようやくしっかり掴める程度だったのに、今は片手で土方の手が隠れてしまう。

手も見つめる視線も熱い。


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