学園設定(補完)

□逆3Z−その2
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放課後、部活の指導へ行くために歩いていた土方は、途中の廊下で例の視線を感じ足を止める。

今日は数学もあったので苛立ちはピークだったため、

「坂田っ、ちょっと来いつ」

初めて話かけたのに乱暴な物言いになってしまった。

が、壁の向こうに隠れていた銀時は嬉しそうな顔をして出てきたので、余計にイラッとさせられる。

土方が我慢できずに話しかけてくるのを待っていた。つまりわざと苛立つようなことをしていたというわけだ。

機嫌の悪くなった土方は目の前に立つ銀時を睨みながら問い詰める。

「どういうつもりだ」

「どうって?」

「なんでずっと俺を見てるんだっ」

分かってるくせにシラを切るのかと強めに言ってみたら、とんでもない答えが返ってきた。

「先生のこと好きなんだ」

「……あ?……」

「本気で好きです。俺と付き合ってください」

こう言ったら感じ悪いかもしれないが、正直こういうことは良くある。ただし全員女生徒だった。

自分と体格も変わらない男子生徒にはっきり告白されたのが初めてで、当然、

「…冗談だろ」

と言うしかない。

「えぇぇぇ、ものごっさ真剣に告白したのに!?」

真剣だったから冗談にしたかったのだが、銀時はそのぐらいで諦めてくれそうになかった。

「好きなヤツいる?いないよね?だったら俺でも良くね?」

「…なんで決め付けるんだ」

「女の気配がしねーし。いないでしょ?」

その通りだったから余計に腹が立つが、ここは大人として教師として毅然と振舞わなければ。

「お前には関係ないだろ」

「関係ありありですぅ。いないなら俺と付き合って、って言ってんのに」

「いなくたってお前とは付き合わねーよっ」

「ええ〜、嘘つきぃ」

「なにが嘘付きだ!」

のらりくらりと話の噛み合わない感じがイラついてちょっと声を荒げてしまったが、銀時は気にした様子もなくニコニコしているので土方は大きな溜め息をついた。

「……だいたいなんで俺だよ」

思い返してみても初対面の時から銀時はこうだった。好きだと言うのが本気なら、あの時からそうだったということになる。

土方にとっては銀髪頭の変な生徒が増えただけだったのだが、銀時にとっては……

「えっとぉ……一目惚れ?」

実に軽くて全く信用ならない運命的なものがあったようだ。

だが土方にとってはその方が気が楽でもある。その程度なら忘れるのも早いだろうと思えた。

「とにかく、お前と付き合う気はねーから」

「大丈夫、銀さん気は長いほうだから」

「…だいたい男なんかと付き合えるか」

「大丈夫、男同士でも結婚できる国があるし」

「……生徒だし」

「大丈夫、流行ってるから。生徒と教師の禁断の愛なんてよくあるある」

「何が大丈夫だっ!!何が禁断の愛だっ!!てめーとは付き合わねーって言ってんだろうがぁぁ!!」

とうとう切れてしまった土方は、これ以上話をするのも嫌だと背中を向けて歩き出す。

歩いているうちにちょっと冷静になって、言いすぎたかとちらっと振り返ってみたが、土方がそうするのを分かっていたかのように銀時が嬉しそうに笑ったので、今度こそ怒りMAXでその場を離れた。



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