学園設定(補完)
□逆3Z−その2
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#11
作成:2015/11/15
日曜日の午後、土方は自宅アパートのテーブルにペンを片手に頬杖をついていた。
明日授業で使うプリントの準備をすっかり忘れていたため、下書きをしておいて朝一でパソコンで仕上げようと思っているのだが、全く捗らない。
と、いうのも……。
「んー」
寝転がって土方の腰に両腕を回して張り付くもふもふしたものが邪魔をするからだ。
本人は甘えているつもりなのかもしれないが、こうもぞもぞ動かれたのでは気が散る。
「おい、坂田っ、離れろ」
「やですぅ。一緒にいるのに仕事なんか始める先生が悪いんですぅ」
足の上にある頭を押してどかせようとするが、腕に力を込められてしまい離れそうにない。
「お前が帰ればいいんだよっ。泊まりは土日どっちかって言っただろうがっ。金曜日から居座りやがって」
「だって先週は用事があるからって泊めてくれなかったじゃん。だから…繰り越し?」
「繰り越しじゃねぇっ!先週泊まれない分って、先々週に前払い(?)しただろうがっ!」」
「そーだっけー?」
「……都合の悪いとこだけ忘れてんじゃねーよ」
「ひひっ」
怒っているのだが全然気にした様子も無く、むしろ楽しそうに笑って銀時はまた土方に擦り寄った。
うっかりこの愛想の良いところに絆されて受け入れてしまってから以降、学校でも家でもべったり着いてこられて、最初はそれも可愛いと思ったのだがそろそろ不自由になってきた。
「お前もさー、俺んとこだけじゃなく友達と……」
そう言おうとして気が付いた。そういえば、付き合う前にはよく一緒に居るのを見た3バカ(銀時を入れて4バカ)の姿を見ない。
幼馴染だという3人とは、クラスが別れてもいつも釣るんでいたようだったのに。
「……あいつらと……喧嘩してんのか?」
「してねーよ?」
銀時はあっさりとそう答えたが、こいつは平然とした顔で嘘をつける奴なので信用できない。
もしかして自分のことが原因で疎遠になってしまったのだろうかと、本気で心配する土方に銀時は嬉しそうに笑った。
「マジでしてねーって。俺が先生にべったりだからって妬くような可愛げ気があるようなやつらじゃねーし」
「……なら、いいけど」
銀時の髪をもふもふっと撫でて土方も小さく笑い、仕事のほうに意識を戻した。
その全然納得していないような笑顔に銀時は唇を尖らせる。
「…というわけで、先生が心配するからお前らとも遊ぶことにしたから、嫌だけど!」
翌朝、登校したばかりの幼馴染三人の前に立ちはだかりそう宣言する銀時。
そして朝のHRで土方を見逃さないためにぴゅーっと自分のクラスに戻っていく後ろ姿を見送りながら、
「…朝っぱらから何ボケたことを言っているんだ、あいつは」
「ガッハッハッハッ、色ボケじゃあ」
「…ちっ…」
呆れる桂、笑い飛ばす坂本、不機嫌になる高杉だった。
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