学園設定(補完)

□3Z−その2
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新年を迎えたというのに自分の部屋に漂う辛気臭い空気に、銀八はめっきりと落ち込んでいた。

「あ〜〜〜………ゴホッゴホッ」

土方からのお見舞いを断ったはいいが、家には薬もまともな食べ物も無かったし、昨夜のツレだった桂に電話をしても出ないし、気分は沈んでいくばかり。

もう少し気分が良くなったら無理矢理外に出るしかないと思っていると、玄関のチャイムが鳴った。

ドアを開けるとマスクをした土方が立っている。

「…な、なんで来てんですか」

「大丈夫。マスク三枚重ねだから」

「そういう問題じゃ……」

「薬買ってきた。ご飯と、飲み物と…プリンも…」

「…う…」

銀時が欲しいと思っているものをばっちり揃えてきた土方を、意地張って追い出すこともできず銀八はバツが悪そうな顔をして、

「……どうぞ……」

そう言って中に入るように促した。

土方が嬉しそうに笑う。買ってきたものだけ受け取って追い返すこともできたのに。


それからあれこれと世話を焼いてくれたことはやっぱり有り難かった。土方のほうもなんだか楽しそうだ。

一通りのことをやり終えてから、

「じゃあ、俺、帰る」

土方は自分からそう言い出した。本当はちゃんと熱が下がるまでは心配なのだが、銀八に余計な気を使わせたくなかったから。

おでこに冷却シートを貼ったまま銀八が玄関まで見送ってくれる。

「…ありがとうな。助かった」

「うん」

靴を履いて出ようとした土方が、少し何か考えたあと振り返って言った。

「先生。俺、頑張るから」

「?」

“銀八の願いが叶うように”

きょとんとしている銀八に近寄り、腕を掴んで引き寄せるとマスクをしたまま唇を重ねた。

三枚重ねなのでお互いの感触はまったくないが、初めて自分からキスしたことに恥ずかしくなったのか土方はぱっと離れて、顔を真っ赤にしたまま、

「治ったらメールしろよ。初詣一緒に行くんだからっ!」

そう言ってぴゅーっと部屋を出て行った。

そんなことをされたら銀八のほうも恥ずかしくなってくる。

「……熱上がるわ……」

可愛い恋人ににやけてしまう銀八だった。



 おわり



ネタは同級生設定より先に出来ていたのに、時間がかかった上に長い〜。
マスク越しのキスが書きたかっただけなんだけどね(笑)
ホント、うちの銀八はヘタレのマヌケですみません。

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