学園設定(補完)
□3Z−その2
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それから入れ替わり立ち代りクラスの生徒がやってきて、銀八にお祝いの言葉と乾杯とプレゼントを置いて行った。プレゼントの中を見ようとすると止められてしまったため、たぶんくだらないものが入っているんだろうと思う。
お昼過ぎに志村姉弟と神楽も帰ってしまったが、ちっとも帰る素振りがない沖田たち。
「……入れ替えじゃねーの?お前らはいつまでいんの?」
「ずっと居まさぁ、暇なんで」
勝手にテレビゲームをセットして遊び出す沖田、部屋のあちこちを覗いてムラムラするものを探そうとする近藤、なんだかマメに片づけをしている土方に、銀八は深い溜め息をつく。
たび重なる乾杯に、このままでは泥酔してしまうと途中から銀八もジュースに変え、ようやく最後の乾杯になった時には午後7時になっていた。
しかも相手は、
「先生……さっちゃんもプレゼント持ってきたんだぞ」
「…そりゃ、どうも」
「プレゼントは、わ・た・し」
「はーい、終〜〜了〜っ。お開きの時間ですぜぃ」
猿飛が人差し指を立てながらぐぐっと近づいてきたところを、沖田がジャストタイミングで遮ったため銀時はホッと息を付く。
「ええええっ、私まだ来たばっかりっ……」
「わざと時間をずらして呼んだんでぃ、うるせーから」
「ちょ……あっ、離しなさいよっ!」
「帰るぞ〜。先生、お邪魔しました〜」
近藤が猿飛の首根っこを掴んでずるずる引っ張って先に出ていき、散らかしたままの部屋に苦情を言おうかと思ったが猿飛が戻ってくるのも面倒だと見送ることにした。
「じゃーねー、せんせい、はぴば〜」
「はいはい、どーもな」
お疲れの銀八とは裏腹に元気良く帰っていく生徒を見送っていると、部屋で片付けをしている生徒が一人。
「土方。そのままでいいぞ」
「……でも……」
「何やってんでぃ、土方ぁ。とっとと帰るぞ、土方ぁ」
外で沖田が叫んでいるのを聞いて、土方は眉間にシワを寄せ、銀八は笑う。
「ほら」
「……じゃあ、帰ります」
「おう。今日はどうもな」
ぺこりと頭を下げて土方が出て行くと、残ったのは散らかった部屋と山ほどのプレゼントと疲れ。
気分的にはこのまま放っておきたかったが、明日起きてから片付けるのも虚しいかもしれないとしぶしぶ片付けを始めた。
とはいっても燃えるゴミとビン缶を分けるだけなのでたいした時間もかからず、部屋の隅に置かれたプレゼントに山に目をやる。明らかに“自分たちで包みました”という包装紙は捨ててもいいかもしれない。
同じサイズの薄い包みが多数あり、それを手に取り嫌な予感がしながら開けてみるとエロ本、エロ本、エロ本……。しかも古本。
「家にあった“もうこれいらね”ってヤツ包んだだけだろうがぁぁああ!!」
そう叫びつつ本をまとめて部屋の隅にそっと置いて、次のカラフルな包装紙の軽い袋の中からは甘い系のお菓子、お菓子、お菓子……。
「……面倒くさいからスーパーで適当に買っちゃえ、ってヤツだな……ありがたいけど……」
次の手のひらサイズの箱を手に取り『また菓子か?』と思いながら包装紙を剥いて出てきたのはコン○ーム。ボトリと手から落ちたソレを拾いながら『絶対沖田だろ、あのガキ』と新八は確信する。
そして最後に残った箱。不器用に包装された軽い箱の中身は空だった。それを見つめて小さく笑うと、箱をテーブルの上に置いて立ち上がる。
包装紙をゴミ袋に入れて片付いた部屋を見ながらコキコキと首を鳴らした。
今日はとても疲れたが、まあ楽しかったとは思う。想像していた誕生日とは違っていたけれど。
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