学園設定(補完)

□同級生−その1
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カラオケは無事終わり、1人降りた駅で改札に向かいながら土方は大きく息を吐く。

女生徒はほとんど土方のファンだったのだが気配りのできる子たちが揃ったようで、他の男子生徒とも楽しく会話して土方の誕生日を盛り上げてくれた。

…なのに、なんで心に隙間があるような気がするんだろう。

家に帰り、叔母の手料理を食べて、叔父からのプレゼントを受け取って、すごく嬉しいだろうけどこの隙間は埋まらないような気がした。

駅を出てまだ人通りの多い道を歩き出す。

そして前を歩く人たちの隙間から昼間見かけた白い髪が見えたとき、胸が騒いだ。

「……坂田……」

「おつかれ」

笑ってそう言った銀時に、たまたまここに居たんじゃなくて俺を待っていたんだ、と思った。

「どうしたんだ?」

「あ〜〜……はい」

少し大きめの紙袋を差し出され、それを受けるとあの時に欲しかった言葉をくれた。

「誕生日おめでとう」

「…あ、ありがとう…」

近藤に言われて誕生日だと知りわざわざ用意してくれたのかと思ったが、そうではないようだ。

「本当は学校で渡そうと思ってたんだけどさ、なんか…渡しずらくて」

「…一緒に来たら良かったのに」

そう言った土方に銀時はちょっと笑っただけで、頭を掻きながら下を向く。

「…一緒になんか祝いたくねーし…」

そう呟いた声は小さくて土方には聞こえなかった。

「んじゃな」

そう言って帰って行った銀時を見送り、土方は心の隙間が埋まっていることに気が付いた。

自分の心に銀時の居場所が出来てしまっていることにも。



家に帰るとすでに食事の準備は整っていて、「着替えて来る」と急いで部屋に向かった。

2人を待たせてはいけないと思ったが、銀時から貰ったものが気になって落ちつかなそうだったから先に開けてみた。

紙袋の中には簡単に包装された柔らかい物が入っていて、それを開けて出てきたのはマヨネーズ(容器)柄のパジャマ。

上下に分かれたパジャマをじっくり観察したあと笑い出した。

「あはははははっ!すげっ、あいつ、どんだけだよっ」

器用な奴だとは知っていたが、こんなものまで作れるなんて凄過ぎる。しかもマヨネーズ柄だ。

きっとまた依頼か何かで買い物したときにこの布を見つけ、土方の豪快なマヨラーっぷりに大笑いしたときのことを思い出して買ったに違いない。

土方のウケを狙ってにしても、いくら器用でもこんなの簡単には作れないだろうな、と思う。

どういうつもりで作ってくれたのかを考えると、埋まった心の隙間が熱くなった気がした。





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マヨパジャマネタはカブりますが、
仕方ないよね、可愛いからね(笑)
銀さんが器用な設定ってサイコー!
この話は続き書かないとイカン感じ…だよね。
くっつくまで頑張ります。


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