学園設定(補完)
□同級生−その1
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翌日から、直接渡しても断られるだけだった土方の所へ、次々女生徒が訪ねてくるようになった。
「土方くんっ、これ食べてっ」
「…あ、ありがとう…」
「きゃー」
ぎこちなくであったが笑顔で礼を言う土方に、みんな喜んで帰っていく。
銀時にああ言われたせいもあり、彼女たちの気持ちは理解しようと思う。騒がれるのはやっぱり苦手だけれど。
女生徒がみんな帰ると、机の上にはレジ袋に入ったパンと菓子が山積みになっていた。
「すげーなトシ」
「これみんなで分けろよ」
これ以上恥ずかしくなる前に逃げてしまおうと、幾つか置いて残りを持つ。
「え、だけどお前が貰ったのに…」
「大丈夫、みんなで分けるって言ってあるはずだから」
「はず?」
その問いかけには答えず、急いで裏庭に向かった。
裏庭に鳴り響く自分の腹音を聞いて銀時はぐったりとうなだれる。
「…依頼激減…」
土方に頼まれた伝言は効果覿面だった。
『手作りのプレゼントは困るけど、パンとか駄菓子だったら嬉しい。みんなで分けて食べるから、って言ってくれ』
途端に土方への依頼は無くなり、まだ途中だったものまでキャンセル。みんな土方に直接渡せて受け取って貰えるとなったら現金なものだ。
『どんだけ好かれてるんだアイツは』
依頼を受けるようになってずっと、女生徒から土方のことを聞き続けてきた。
どこがカッコいいのか、どんなとこが可愛いのか。
どんな奴だろう。
一目一目編みながら、一針一針縫いながら、どうしても土方のことを考えてしまう。
そしたら想像ばかりが募っていた土方が目の前に現れて…
「坂田っ」
ぼんやり数日前のことを思い出していたから、名前を呼ばれるまで気づかなかった。
慌てて意識を引き戻して顔を上げると、ちょっと照れ臭そうな土方が立っていて、
「…ほら…食えよ…」
パンと菓子をたくさんくれた。
土方があんなことを言い出したとき、俺の為かな、俺の為だったらいいな、なんて考えたけど…外れじゃないみたいだ。
「…土方くん男前だなぁ」
想像だけだった土方がそのまま目の前に現れて…嬉しくなった。
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高校生、同級生設定が一番楽ですね。
もっと長い話で二人ともその気になるのは、
まだまだ先のはずだったんですが…
土方に片想いの銀さんってシチュが好きすぎです。