学園設定(補完)

□逆3Z−その1
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5年後。

「土方先生〜。2時から新任教員の挨拶ありますから〜」

「わかりました」

中庭に立つ土方に、校舎から同僚教員が声をかけてくれたのに答え、そのまま庭の端まで歩いて行く。

学校には付き物の桜の木。この学校では一本、大きいのが中庭に植えられていた。

満開になった桜を、少し離れた場所から見上げる。

今年の花びらはやけに白くて、見つめていると置き去りにしてきた後姿が浮かんで胸が痛んだ。

自分勝手な感傷だと目を逸らそうとしたとき、太い幹の後ろから出てくる人影。

弛めたネクタイにだらしなく着たスーツ。

「土方先生?新任教師の坂田です」

落ち着いた声でそう言い、眼鏡をちょっと上げる。

見慣れない姿、聞きなれない声。だが強く心に刻まれた白い髪と面差し。

「……ぎん…とき?……」

男はゆっくり眼鏡を外し、

「うん」

そう言って笑った瞬間に、5年前、学校の校庭に置いてきた銀時と重なった。

「…な……なんでここに……今…なんて言った……」

震える声で立て続けに問いかけてくる土方に、銀時は胸ポケットから一枚の写真を取り出す。

中学生ぐらいの子供とお婆さんが写っている。聞くまでもなく両方に見覚えがあったが、銀時は説明してくれた。

「これ、俺。んで、こっちが俺の婆さん(みてーな他人)」

『り、理事長〜〜っ』

「学校で雇ってくれって頼んだら教師なら雇ってやるって」

土方がここに居ると分かっていたような言い方をする銀時。

あれから5年しか経っていない。受験して大学卒業するまで最短5年だ。

ということは、少なくとも逃げ出したその年、受験を考えたら卒業式から半年以内にはここにいるとバレていた。

『なのに会いにも来ないで、我慢して、5年も…ここに…俺に会うために教師になったのか?』

泣き出しそうになるのを堪える土方に、銀時は涙の浮かんだ目で笑いかける。

「俺、頑張ったよ。だから、ご褒美ちょうだい?」

背もちょっと伸びて身体も顔つきも大人びているのに、そう言って両手を広げる銀時は高校生のときのまま変わらない。

土方のことしか見えてないその一途さが怖くて逃げ出した。

それなのに、土方の危惧を解消するため頑張って我慢して、またこうして目の前に現れたなんて、

「おまえ……こえーよ」

笑ってそう言い、腕の中に戻ってきてくれた土方を抱き締めた。

5年分、強く強く抱き締めた。





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書いても書いても終わらないと思ったら、3ページになってました(笑)
act.1は以上です。
…終わってんじゃないの?act.2は先×先?
とお思いかもしれませんが、次も徒×先です。
出会い〜卒業まで、あとは1の続きも少し書こうかなと思ってます。
1を考えた後に、くっついた時とか考えたのでそのまま書きます。
…また長いんだこれが…原作設定書きたいよ(笑)

しかし…ありがちでしょ、定番でしょ、お約束でしょ。
出会い〜もそんな感じでお送りします…



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