学園設定(補完)

□逆3Z−その1
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おまけ


《翌朝》

銀時が朝風呂を使ってる間に簡単な朝食を用意して待っていた土方に、複雑な顔をした銀時が戻ってきた。

「…どうした」

「……改めてよく見るとさ……この部屋、独身1人暮らしには広すぎね?……もしかして……」

3LDKで広い浴槽。田舎で賃貸料は安目とはいえ完全にファミリー向けの部屋に、昨夜の不安が舞い戻ってきたらしい。

「違…………Σ(´□`;)」

否定してやろうとして、土方はこの部屋を借りる経緯を思い出した。

去年の秋に理事長から、

「知り合いに、空き部屋に誰か紹介してくれって頼まれたんだけどさ、あんた、もっと学校に近い部屋のほうが楽だろう。安くするように言ってやるから借りないかい?」

と言われて薦められたからだ。

確かに格安だし綺麗だし広いしで引っ越してきたけれど、もしかして銀時が教員免許を取得しこの学校に来るのが決まったからだろうか。

そう考えるともう1つ思い出す。

ここへ来て3年目、都会からきたちょっと無愛想な男だと遠巻きだった人たちが、教師として頑張る土方を見直し始めた頃から“イケメンの若い働き者の教師”というオプションを貼り付けたようで、やたらと見合い話が湧き始めた。

田舎はこういうのが面倒くさいなと思っていると、それはいきなりぱったりと止んだ。

それも理事長が知って止めさせたのだとしたら。

“あのバアサン……孫に甘めぇぇええ!!!”

答えない土方に銀時がしょんぼりとしている。

「…先生…」

「……違うよ。学校に近くて安いから借りただけだ」

土方がそう言ってやると、銀時はあっさりと信じて笑顔になる。

朝食を食べながら、土方は理事長の企みに乗っかってやるのは不本意だったが、銀時に聞いてみることにした。

「…お前、住むとこはどうしたんだ?」

「今はバアサンのところに居るんだけど……」

銀時も土方の考えに気付いたようで、語尾はモジモジと詰まってしまった。

そんな姿を見て、土方は笑ってしまう。

これからはちゃんと思ったことを言っていい。ずっと我慢してきた銀時を喜ばせるための言葉を。

「……じゃあ………一緒に住むか?」

「まじでかっ」

本当に嬉しそうに笑った銀時に、土方も幸せな気持ちになった。




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