学園設定(補完)
□逆3Z−その1
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#4 2015/05/02
終わった後、いつものように背中を向ける土方の腰に手を回し、いつものように抱き締める銀時。
最初は背中を向けられて『後悔してんのかな』とショックを受けたが、実は『恥ずかしくて顔を見せられないだけ』だと今は知っている。
ぴたりと身体を密着させると心臓の音が聞こえてきて、いつの間にか眠ってしまう。
が、今日はこのまま眠るわけにはいかなかった。
「…先生…」
「ん?」
土方のほうはウトウトとまどろんでいるようだったが、
「……なんで今日が誕生日だって教えてくれねーの?」
そう言われて鼓動が跳ね、ベッドから落ちそうな勢いで起き上がった。
「な、なんで知って…」
そんなに動揺されると思っていなかったから、銀時は申し訳ないような顔をして白状する。
「……先生の運転免許証見た」
「お前っ、勝手に鞄…」
「だって、先生、教えてくれなかったじゃん。学校でも誰も知らないって言うし」
銀時にとっては他に手段がない上の苦肉の策だったのだ。もちろん悪い事をしたというのは分かっている。
怒られるのを覚悟していたのだが、怒っているというより焦っているように見えた。
「…………免許見たってことは……歳……」
土方が悩んでようやく出したセリフはどんどん小さくなっていったが、なんとか聞き取れた。
「歳?今日で30だっけ。意外といってんだね」
「ぎゃぁぁああ!!」
銀時がなんでもないことのようにあっさり答えたのに、土方は頭を抱えて絶叫した。
えええ?こんな先生初めてみるけどぉ?
「先生?何?どうしたのっ?」
「……誕生日教えたら、幾つになんの?とか聞かれると思ったから、教えなかったのに……」
「………え?歳を知られたくなかったから?」
付き合ってるなら誕生日って大事なラブイベントなのにそれを教えてくれない土方が、どういうつもりで自分と付き合ってるのか、とかいろいろ考えてしまった銀時は気が抜けて笑ってしまった。
「……なんだ、んなこと」
「んなことじゃねぇっ!……一回りも離れたガキに手を出した俺にとっては重要事項なんだよっ!」
「ガキって言うなぁ!!それに、手を出したのは先生じゃなくて俺…」
殴られた。
一回り…12歳離れてると意識してしまえばそうなのだが、銀時にはとてもそうは思えないのだ。
教壇に立っているときはともかく、2人で会ってるときの土方は、拗ねるし怒るし可愛く笑うし、だからいつだって身近に感じてた。
銀時に笑われて気にしすぎた自分が恥ずかしくなってしまったらしい土方を抱き締める。
「他には?」
「………世代のギャップとか…別れる原因になる…って」
それもテレビか何かで見てずっと気にしてたのだろうか。銀時は首を傾げて言ってやった。
「……ギャップねぇ……先生そもそも流行りモノなんも知らないじゃん。俺と趣味も好みも合わないし、話も合わないし、付き合ってて楽しいのか、って思えるほどじゃん」
土方の表情が少し曇ったのが分かったが、さんざん悩ませてくれたお返しのつもりで言った。
だから次は、正面からぎゅーっと抱き締めて、
「それでもいいんだ。先生が幾つでも、趣味も好みも話も合わなくても、一緒にいられるだけで俺はすげー嬉しいから」
プレゼントの変わりに、そう言ってやる。
顔が見えなくてどんな表情をしているのか分からなかったが、土方も抱き締め返してくれたので喜んでくれたのかもしれない。
「先生、誕生日おめでとう」
「…ありがとう」
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生徒×先生だからできたネタだなぁ、と。
やっぱり…銀さんは可愛いなぁ。
銀さんが可愛いから土方も可愛いのさ!
…一回り下の銀さん相手に受ける土方…ぷふっ。