学園設定(補完)
□3Z−その1
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国語科教科室で煙草をふかしながら、銀八は時計をチラリと見た。
溜め息と煙を一緒に深く吐き出す。
せめて近くに、すぐ側に行けるようにと出勤してみたが、無駄足に終わりそうだ。
煙草をもみ消し、次の煙草を取り出して諦めの悪い自分に苦笑したとき、背後にある廊下をものすごいスピードで走ってくる足音に気が付いた。
振り返ったのと、ドアをバーンと開けて土方が立っているのを見たのは同時だったので、土方が自分に向かって投げつけた箱まではっきり見えた。
「でじゃぶぅっ!!?」
前回と違い額に食らってしまったのでダメージは大きい。
せっかくのプレゼントを武器にされたのでは作ってくれた女生徒には酷い事だが、恋敵にダメージを与えたのだからある意味成功だ。
額を押さえて悶絶しそうになっている銀八に、土方が怒鳴りつけた。
「付き合えって、お付き合いしましょうって意味だコラァァ!!分かってんのか、てめ…………?」
もっと責めてやろうかと思ったが、銀八が動かないので土方は急に心配になった。
軽い箱だったけどクルティカルヒットしてしまったのだろうか。
「…おい……銀八?」
近づいて銀八の隣にしゃがむと差し出した手を掴まれ、そのまま抱き締められた。
「せ、先生っ?」
「んだよ、だったらお前もちゃんと意思表示しろよな」
銀八が安堵の溜め息を深々と付くのが分かった。
「今まで何かと俺にまとわり付いてたくせに急に寄ってこなくなるからさ、先生もアレは“飯に付き合え”なのかと思っちゃったよ」
「……だって、今までと違って…付き合ってるとなるとあまり周りにいたらまずいかと思って……」
「俺だって、今までと違って…贔屓してんのがバレバレになると困るかなぁと思ったんですぅ」
お互い気を遣って、お互い誤解していた。
こんなに好きなのに、ずっと我慢していた。
どちらからともなく笑い出す。
「誕生日おめでとう、土方くん」
「…ありがとう、先生」
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続きにするつもりで考えたネタじゃないから、
♯1から急展開すぎだろ、と。
勘違いネタも無理があるだろ、と(笑)